第6話 ゆうこの秘密

今年の夏は 以上に暑かっただが、10月に入ると急激に涼しくなってしまった。朝などは寒くて上着が欲しくなるほどになってしまった。

「なんだかもう 長袖が欲しいくらいだね。」

「私はもう半袖はしまってしまったわ。」

「早くない。」

「こんなに寒かったらもう使わないでしょ。」

「そうかもしれない。」

だが 10月の半ば過ぎた頃に また暑くなってきた。

「勘弁してよ。半袖なんかもうしまっちゃったよ。」

「だから言ったじゃないか。」

「また出すの尺だから、袖を曲げておくわ。」

「まあ それでもいいのかな。僕はまた半袖出すよ。」

本当に今年の夏は異常だった。急に涼しくなったと思ったら、また暑さがぶり返してきた。もう暑いのはごめんだが、涼しいのを通り越して寒くなるのもやめてもらいたい。そしてまた寒くなったと思ったら今度また暑くなる本当にやめて欲しいと思った。これじゃ 体が参ってしまう。11月になっても急に暑さがぶり返して富士山の雪も溶けてしまった。11月に30度近くなってしまうなんて驚きだ。

「裕子さん 体大丈夫?」

「平気よこれぐらいなら。」

「強いんだね。」

裕子さんはへへへと笑っていた。色が白くてほっそりしているのに丈夫なんだ。

「裕子さんってさ、学生時代 何か運動してた?」

「特にしてはいないけど。」

「そうなんだ。」

「どうして?」

「体力あるなと思って。」

裕子さんはアーチェリー部のキャプテンに似ていた。ほっそりしているのに肩幅があって結構しっかりしていた。短めに切った髪型が似ているからだろうか。時折、裕子さんとアーチェリー部のキャプテンが重なって見えた。僕はそのアーチェリー部のキャプテンと少しだけ 付き合ったことがあった。学生だったからか彼女はもう少し背が低くて、可愛らしかった。丸く柔らかな頬と、少し尖った顎がかわいらしかった。

「裕子さんさぁタレントだと誰に似てるって言われる?」

「満島ひかりさんかな。」

「やっぱり、そう思ったんだ僕も。」

「似てる?」

「似てます。」

「もしかして、お姉ちゃんか妹いない?」

「いないけど。どうして?」

「似た感じの人がいたから。」

「似た感じの…?」

「いや、よく似てたからねそうかなと思って。」

「私の兄弟や親類にもそういう人いないから。」

「そうなんだ。」

僕はただの偶然なんだと思った。それにしてもよく似ている。もしかして本人が知らないだけで 本当はそういう 兄弟がいるのかもしれない。そんなふうに思ってしまうほどよく似ていた。

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