ドンの提案
「わたしの提案は、あなた方4人でネオバーンを待伏せきて倒して頂きたいのです」
!!!
「迎え撃つんじゃなくて、仕掛ける?」
ショウが驚いた声で聞き返す。
「そうです。ネオバーンだけを狙って襲うのです」
ドン・マッジョの顔は真顔、というより活き活きした表情でそう言ってのけた。
「えっ、ちょっと待ってください」
「もちろん、頭を整理する時間は必要です。どうぞ」
4人は黙ったまま下を向いた。
「もう少し詳しく教えてください」
ケンジの発言に、ドン・マッジョは頷き立ち上がって地図を使って説明を始めた。
「5日後、ここに約5万にもおよぶ魔物の大群が集まります。そこで大魔王は、集まった魔物達に向かい檄をとばすでしょう。最近、規模の大きな攻撃を行うときは、必ず一度集まって統率するものが檄をとばす。これが慣例になっています。士気が高まった魔物達はわれ先にとアイ王国に進軍をはじめます。城から西に5キロほど離れたところに冥界門と呼ばれる巨大な門があります。この門を抜け一気に攻め入ってくるでしょう。奴らは昼夜も問わず一息も休まず一心不乱に突き進みます。冥界門を抜ければ、速いヤツで数時間のうちにアイ王国に到達するでしょう。当然そこには、エックスとゼットが先頭に立っていることでしょうね」
ドン・マッジョは、地図に記されている門の絵からアイ王国の城までを一気になぞった。話はまだ続く。
「その後残りの十指が率いる本隊が続々とアイ王国を囲むように集まります。速度はまちまちですが、概ね20時間のうちに集結すると予想しています。エックスとゼットの攻撃をどこまで食い止められているかは分かりませんが、そこから魔物達の総攻撃が行われます。休む事をしらない奴らですから、総攻撃が始まってしまえば、決着はどちらかが滅びるまで続くことでしょう・・・・・・」
ドン・マッジョは、ちらっとケンジとショウに目をやる。
ふたりとも真剣な視線を返してくる。
ドン・マッジョは頷いて続ける。
「最後に近衛兵に囲まれた大魔王ネオバーンがゆっくり到着します。それは奴らが城を出て大体1日後とみています。大魔王が移動に使う巨大な乗り物があります。それを大勢の魔物が囲んで運びます。大魔王が到着する時、アイ王国がどうなっているかは今現状では分かりません。総攻撃に耐え迎え討つ事に成功しているか、または攻撃に耐えられず城内に侵入され被害が広がっているか、はたまた、すでに城を落とされてしまっているか・・・・・・、そこは、この知らせを聞いたアラン王の備えと覚悟によるところでしょう」
「私たちは、アイ王国の軍隊と共に魔物達を迎え討つんじゃダメなの?」
タージが言う。
「ダメではありません。もしかすれば、その方が正しいのかもしれません。戦い方を決めるのはあなた達で、わたしの話は提案の域を出ませんから」
「・・・・・・」
「ただ、はじめから迎え討つ形だと大魔王到着前に力を消耗してしまう。エックス、ゼット、十指、それから5万もの大群の魔物達を前にじっとしていられますか?無理でしょう。この戦い早期決着をつけるならネオバーンを倒す他ありません。そして、ネオバーンに仕掛けるその場所はここ」
ドン・マッジョの人差し指が一点に止まる。
「冥界門です」
サンポーレルの街が見渡せる丘の上。
タージはマケロニにフィード海賊団の母船に急いで戻り、父にこのことを知らせるように指示を出した。マケロニに慌てて準備をして、ご無事で!と一言タージに伝えただけですぐに出て行った。
マケロニの抜けた4人は、ドン・マッジョの提案を聞いてどうするか話す時間をもらってここに足を運んだ。
「ドン・マッジョは、凄いよね。この街はほとんど彼が一から築き上げたんだから」
ケンジの言葉に反応する者はいない。
「で、みなさんはどうするの?わたしはドンの言う通り、その何ちゃら門で仕掛けるのが良いと思うけど」
タージは少し素っ気なく言った。
「わたしは・・・・・・、王都に戻って戦いたい。たぶん、城がもたない。エックスもゼットも実力は計り知れない。うちの師団長レベルでもとても歯が立たないわ。私たちが大魔王と戦う前にアイ王国が、おとうさまやおかあさま、皆殺されてしまうわ」
いつも強気のショウが言葉が小さく震えていた。
「あんたは?」
タージがイヂチに向かって言う。
「・・・・・・」
イヂチは、目を細めて口を短く動かした。
「まあ、そうね。わたしもそう思う。で、王子様あなたはどう?」
「僕は・・・・・・」
大魔王ネオバーンの居城。
「ネオバーン様、ザイードとミジュカリーが到着しました」
「・・・・・・ゼットは、どうした?」
「あと半日で到着予定です」
「到着したらすぐにここに来るように伝えろ」
「かしこまりました」
「もう良い、下がれ。これから半日はここに誰も入れるな」
「かしこまりました」
「真の破壊僧エックスにゼット。それに立ち向かうは、ケンジ、ショウ。仲間を得て如何戦う。・・・・・・すると駒があと一つ。クックックッ・・・・・・、まあいい。クックックックッ。ハッハッハッハッハッー」
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