第8話 学園改造しちゃえ

 私は早めに登校して学園内に監視カメラを仕掛けた。

 きちんと学園長の許可は取ってるから大丈夫だろ。


 生徒会室で監視カメラの映像をついでで作ったモニターに映す。


 異世界とは思えない光景が広がっているが…まぁいいや。これもリリアナの為だ。


 正式な登校時間になりチャイムが鳴り始める。教室に向かうか。


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 教室に向かうとゴウレス先生が居た。

 相変わらずの筋肉ですね、先生。


「この教室にある小さい箱は何なんだ?セレアよ」

魔道具アーティファクトですよ。場面を録画するんです」

「ろく、が…?」

「えーっと、記録するんですよ。生徒会室で記録したものを見ることが出来ます」

「相変わらずの実力だなセレア!」


 あぶねぇ。ここじゃ録画っていう言葉通じないの忘れてた。

 学園長にはどうしてこんな物思いついたんだと言われたし…誤魔化し方も考えなくちゃいけなくなってきたな。やること沢山すぎる。


 変わらずの窓際の席に座りクラスメイトを待つ。


 少しするとクラスメイトが続々と教室に入ってくる。

 知っている姿も据えて。


「セレア。目のクマどうしたんだよ」

「昔に戻っただけだよ…うん」


 残業時間平均百時間以上の研究員時代を思い出す。


 一年生と二年生の時は同じクラスじゃなかったリオンだが、三年生になりクラス替えでリオンと同じクラスになった。

 席は三年から自由席になるため私は窓際の席でリオンは時々私の隣に座る。


「眠そうだが、そんなんで授業受けれるのかよ。体調には気をつけろってメリーさんに言われてるんだろ?」

「言われているけど…」


 メイド長のメリーは私の体調管理に厳しい。無茶をする私が悪いのかもしれないがそこまでなのだろうか。


 乳母が亡くなってからメリーはより一層厳しくなった。乳母はおばあちゃんだったからな。前世の世界とは違いこの世界は寿命が短い。

 魔法があるとはいえど治せないものはある。だから医者が居るのだろうが…この世界の医療は信用できんからな。


 今思えば、私は色んな人を亡くしているな…記憶力は良い方だと思っていたが母や父の顔はもう覚えていない。


 記憶が蘇らなければ私も死んでたってわけか。アルセリア家は代々魔術師だった。それも凄腕の。

 そんな家系が潰れかけるとは…ゲームの強制力とは怖いものだな。


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 授業の内容が全く頭に入らなかった…ノートに書き写したが眠かったせいか字が壊滅的だ……。

 後でリオンに見せてもらうしかないか。


 次の授業は私の科目じゃないし生徒会室で休むとするかな。

 監視カメラの映像も確認しよう。


 ふらつきながらも必死に足を運ぶ。


 癒しが欲しい…ほんとに。


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 生徒会室に着き椅子に座る。

 モニターを見ながら休む。


「特にそれらしい噂は無いかな…」


 ウルトさんとイノワさんに教えてもらった噂が流れている様子は無かった。

 画面に映っているのは楽しそうに会話をする人だけ…悪い噂を流すなら周りは気にするはず…怪しい動きは無し。

 ひとまずは大丈夫か。


「ん…?これは……」


 私はある映像に目を留める。


 そこにはイエラとアルテが教室内で話し合っていた。


 アルテは公爵の息子…確か婚約者を決めろと親から何度も言われ親とは疎遠状態。

 そんなときにイエラが親との仲をつなげる。


 見た感じ今はイエラがアルテに親に対する感謝や自分の親の話をしているシーンか。

 攻略対象が多いのも大変なようだな。


 立とうとすると立ち眩みがする。

 こりゃあやばそうだ…。


 私はふらふらしながらソファに倒れる。


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 何だろう…柔らかい…枕か?いや…ここは学園、私は倒れたのか。


 目を開けるとそこには女神が居た。


「リリアナ…?なんでここに。ていうかこれは何を?」

「寝ていたので…」


 寝ていたのでってすることですか?膝枕を?貴重な推しからの膝枕を貰えるとはなんだ?ここは天国?


 落ち着け私。ここは現実だ。リリアナの膝枕だぞ、満喫しなくてどうするんだ。


 私はリリアナの膝枕に誘われ眠ろうとするとリリアナの手が私の頭を撫でる。


 なんだ!これは楽園⁉やっぱり天国なんですか!匂いも良い!逆に寝れねぇ!!


 私は勢いよく起き上がり冷静になる。

 リリアナは起き上がった私に驚いたのか、心配そうな声色で問いかけてくる。


「不満…でしたか?」

「いや…そんなことはなかったけど。とても良かったけど、心臓に悪い」

「ふへへ…」

「起きたら目の前に可愛い顔があるのは無理だ…次からは出来れば自粛を…」

「嫌です♡」


 なるほど、無理か。いいけどいいんだが…本当に心臓に良くない。下手したら幸せ死するぞ。あるいは尊死か…。


 やはり意志が固い推しはいいね。オタクを殺しに来る。


 致命傷を負いながらも私は椅子に座りモニターを見るとリリアナは気になったようで私の近くに来る。


「それは?」

「廊下や教室にあった小型の箱を覚えてる?それが記録している映像を見てるんだ」

「そんな物が…これは現在動いてる人がそのままここに映るんですか?」

「そうだよ。言わば監視だ」


 リリアナは頬を赤らめながら両手を頬に当てる。

 どうしたんだ?


「てことは…すべて、筒抜けってことですか」

「そうだけど…どうし……って、うわぁ!」


 リリアナは私に抱き着く。それはすごい勢いで。


「うへへ…そんなにも私の事知りたいとは思ってませんでした…」


 ヤンデレリリアナの世界に私は何かを言う事は出来ず照れるリリアナを眺めることしか出来なかった。


 ただ、一つだけ言えるとしたら…リリアナのヤンデレの愛の重さはとても癒しになることだけ。

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