第11話

「いや~よかったよかった! まさか早速ポーションが役に立つとはな」


 翌日、そこには呑気にラーメンを食べる大助の姿があった。


(収穫予定の草は全部ダメになったが、労働力に関しては死守できたな)


 大助にしてみればお助けモンスターは金の生る木だ。大事にしない理由などない。


「というか、普通にイベントとか起きてびっくりしたぜ」


 この放置モード。ただ放置していれば大丈夫というわけではない。敵に備え、装備やアイテムなども充実させておかなければいけない。


(タワーディフェンスゲームをやりつくした俺に隙は無い。やるべき事は全て理解している)


 大助はショップ画面を開いた。


「とりあえず絶対に必要な物を買っておくか」


 不要な雑草を売りまくりコインを稼ぐ。そのコインで低級ポーションを5つ、剣や盾などの防具類、パンなどの食料品、ポーションを大量に買っておく。これらを全て放置モードのアイテムボックスに入れておいた。


(これで俺の手持ちコインはすっからかんだ。だがまあ、これでしばらくは大丈夫だろう)


「さてと、もっともっと植物を栽培しますかね!」



 翌日、夜勤の仕事が終わり大助が自宅に帰ってきた。食事や洗濯などを後回しにして早速アプリを起動する。


「昨日は放置モードのイベントにびっくりしちまって、他の機能とか確認できなかったからな」


 メインモードから栽培可能リストを表示する。


「ん~と、新しく追加されたやつは…これだな」


・解毒草


・火炎草


・食虫植物(低級)


(また何か変なのがあるな)


「まあいいや。とりあえず詳細を見てみるか」


・解毒草


解毒効果のある草。解毒ポーションの材料や様々な薬品などにも使われている。そのまま食べても効果がある。


(ゲームにおいて必須のアイテムが来たな)


「これはまあ、量産決定かな」


・火炎草


炎の成分を含んだ草。口に含む事で火炎系統の魔法を使う事ができるが命の危険がある。武器の加工などにも使用されている。


(…魔法、やっぱり存在するのか)


「…いいねいいね~魔法!ぜひとも使ってみたいもんだな」


 命の危険があるとしても、そんなものは大助からしてみれば確たる障害にはならない。今を全力で楽しむこと。それだけが金本大助の生きる理由だ。


「……だけどまあ、こんな危ない草ここじゃ使えねえよな」


(火炎魔法ってことは火が出るんだろ?…人目がある場所でテストしたら通報されちまう)


「まあなんだ。現代日本だと攻撃的な効果を持つ草は扱いずらいな。…そんで問題は次なんだが」


・食虫植物(低級)


異世界の食虫植物。小さな虫などを食べてエネルギーにする。水や日光だけでも生存可能。驚異的な生命力を持っている。


「正直めっちゃ気になる。異世界の食虫植物、一度は見てみたい」

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