第7話

「お助けモンスターを1体選んでください」


 画面が切り替わり、7体ほどの色とりどりなモンスターが表示された。


「…んん。これは悩むな」


 1体だけという制限から、この選択は今後かなり重要になってくるのではないかと大助は考えている。


(青色の…スライム?この緑のやつはゴブリンか?…この黒い靄のようなやつは何なんだ?)


 迷いながら選んでいると、とあるモンスターの画面で大助の手が止まった。


「…可愛いな」


 栗色の髪、白く長い耳、丸い尻尾。ウサギのような外見をした少女タイプのモンスターが目に留まった。


(化け物みたいな見た目のキャラも嫌いじゃないが、やっぱ選ぶなら可愛い娘だよな)


「いや、でもな~…んん」


 実用性を取るか見た目を取るか。大助は悩みに悩んだ。そして最終確認の意味も込めてウサギ娘をタップし、詳細を確認する。


・モブ・ラビット


食物連鎖の最下層に位置する魔物。魔力、戦闘力共に最弱クラス。


「モブ・ラビットにしますか?」


(…そうだな)


「これはこれで面白そうだ。OKっと…」


 画面が再び切り替わり、箱庭のような世界を上空から見下ろす視点へと変化する。場面が広い畑のような場所に変わった。そこにポン!という音と共にモブ・ラビットが召喚された。


「放置モードでは設定した植物をお助けモンスターが自動で育ててくれます。モブ・ラビットに指示を出しますか?」


 説明文と共に放置モードの注意事項が表示された。


・プレイヤーはメッセージをお助けモンスターに送ることができます。


・お助けモンスターの原動力は魔力です。魔力の管理には十分に注意しましょう。


「ふむ。メッセージか」


 テキスト画面を開き、物は試しとモブ・ラビットに指示を出す。


「ミントを育ててくれと。…こんな感じかな」


 メッセージを送信すると、再び画面に文字が表示された。


「モブ・ラビットがじょうろを要請しました。購入しますか?」


「ぬっ?まあ必要経費ってやつか。購入っと」


「ショップメニューを開きます」


 画面が再び切り替わり、無人の商店のような場所に移動した。


「ショップ内のアイテムはコインで交換する事ができます。じょうろを選択し購入してください」


 指示に従いじょうろを購入する。料金は初回無料と表示されていた。そして画面が畑へと切り替わる。


「お助けモンスターにアイテムを渡したい場合はアイテムボックスを使用する事で可能です。じょうろをアイテムボックス内に移動させてください」


「ほいっと」


 アイテムボックス内にじょうろを移動させる。すると、モブ・ラビットが移動を始めた。


「どこに行くんだ?」


 しばらく行動を眺めていくと、一軒のボロ小屋へと辿り着いた。立て付けの悪い木造のドアを開き、モブ・ラビットが屋内へと入っていく。そしてガサゴソと赤色の箱を漁り始めた。


(なるほど。あの箱がアイテムボックスか)


 じょうろを手にしてモブ・ラビットが上機嫌に畑へと戻っていく。






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