第6話

「よし完成。これを倉庫に移してと。次はニクク王国の雑草だ」


 ニクク王国の雑草を植えて、ひたすらタップをする。


「うおおおおおおおおおおおお!!よし完成!」


 ニクク王国の雑草を倉庫に移す。もう一度ラルメン王国の雑草を植えようかと悩んだところで、大助の動きが止まった。


「 流石にもう寝ないとマズイよな」


 もうすぐ日付けが変わる時間だ。実食および検証は明日にして大助はスマホの画面を切った。電灯の明かりを消して布団を被る。


「おやすみ~」


 大助は心地のいい夢の中へと旅立っていった。



「ふいいい。今日の現場はヤバかったな」


 時刻は昼12時。過酷な日雇い労働を終えた大助が自宅へと帰ってきた。


「腹減ったぜ」


 冷蔵庫を開け、大量に購入してきたドレッシングをぶち込んでいく。


「今後草を食べる機会が増えそうだからな。いつまでも湯煎じゃあまりにも味気ない」


 大助が購入したドレッシングは「和風醤油味」と「ゴマ味」無難な選択だ。


「よし、やるか」


 アプリ孤独の栽培人を起動する。


「今日中にラルメン王国の雑草を量産する。本格的に晩飯として使いたい」


 どうせ食べるなら副菜として数が欲しい。大助は本格的に雑草を料理に使用するプランを考えていた。そこには晩飯の費用を少しでも減らしたいという気持ちもある。


「ほおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 ラルメン王国の雑草をひたすら植えタップし収穫する。大助はこれを1時間繰り返し大量の雑草を獲得した。満足気に倉庫を見ているところで画面にメッセージが表示される。


「おめでとうございます。栽培レベルが3に上がりました。」


「おお?なんかまたレベルが上がったな」


(というかレベルって何だよ?)


「同時に作れる植物の数が2つに増えました。放置モードが追加されました。チュートリアルを確認しますか?」


「…放置モード?」


 知らない単語が多過ぎて困惑する大助。彼は迷わずチュートリアルを再生した。


「放置ゲームって全然放置ゲーじゃないわよね~結局は課金が物を言う修羅のゲームというか。まあ開発側も収益を確保しないとサービスを継続できないし仕方がないんだけどね」


「放置モードの説明だったわね。放置モードはプレイヤーに代わって「お助けモンスター」が働いてくれるモードよ。経営シミュレーションゲームとかあるでしょ?まさにあんな感じね」


「初回大サービスであなたにはお助けモンスターを1体選ぶ権利が与えられているわ。あとは…まあやってみてのお楽しみというやつかしら」


 そこまで再生された後に画面が元に戻る。


「まあなんだ。…やらない理由はないわな」


 大助は栽培を一時中断して放置モードを開いた。

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