第4話

 夜のテンションで夜行バスのページを見たりどう行けばいいのかを考えたり調べたりしたため、寝るのが遅く気づいたら夜中2時だった。

 次の日、親が部屋に来るまで起きることができなくて、朝から怒られた。私が悪いのは分かっているけど、ムカつく。

 イライラしながら家を出た。

 家から学校まではそこそこ遠い。親が送ってくれる人もいたりするが私の家はしてくれない。いつもより勢いよく自転車に乗り、スピードを出すために強めにペダルを漕いだ。通学路は平坦な道ではなく、坂道があり冬は凍えながら、夏は汗だくなりながら自転車に乗って行く。

 遅刻してはいけないため、親へのイラつきから学校に着かなければならないという気持ちに変わっていた。

 家から学校までは、40分ほどかかる。だらだらと漕いだり坂道を自転車を下りて行ったりしていると1時間近くにはなる。今日は信号に引っかからないように急いだり、スピードを緩めずに来たため遅刻することなく着くことができた。

 学校に着くと校門前に先生が立っていた。私は怒られることがほとんどない。怒られない程度に先生に挨拶をしながら駐輪場に行く。駐輪場の手前側は朝練のある部活生に占領されていて止めるところはないため、奥の方へ自転車を押していく。半分より奥が空いているため基本的には遠い場所に仕方なく止める。

「まき、おはよう〜〜」

 自転車置き場に自転車を止めている最中、後ろから背中をポンと押された。誰かは分かったが、ハンドルを持ちながら顔を確認した。

「あっ、あんりー。おはよう」

 自転車をしっかり止め、カバンを持ちそのまま一緒に校舎に向かう。

「なんか、眠そう?」

 小学校の途中から友達なだけあって分かるのかと思った。

「いや――。昨日の夜にさ、調べ物?探し物?してたら寝るの遅くなちゃってめっちゃ眠い」

「そうなんだ。何調べてたの?」

「全然、大したことないんだけど。旅に出たいんよね」

「え――。何それ」

 笑いながら上履きに履き替える。他の高校のことは知らないけど、この高校もよくある普通の学校っていう感じの3階建て校舎だ。そして3階に私たちの教室がある。3階に教室があることについては私は納得していない。

 教室に着き、中を確認するとほとんどのクラスメイトがもういた。

「おはよう。あれ?あんりと一緒なの?今日、遅くない?」

と、加納に話しかけれた。

「いやーーー、ちょっと家出るの出るの遅くなってさ」

「あら、なんかあったの?」

「いや、寝坊」

 机に鞄を起きながら答えた。あらまー、と加納の返事を聞き、鞄から筆箱を出す。

 一通りの準備が整ったらもう朝の会になった。

 朝の会が始まっても私の頭の中は、東京に行くことしか考えられない。あまり寝てなかったからかもしれないけれど。もし、行けなかったらどうしよう。親を説得できなかったら、お金が足りなかったらとかとか、マイナスな考えが溢れ出てくる。

 計画を立てても実行できなければ意味がない。できなかったらこの先の人生が不安になる。あーー、親になって言えばいいんだ。

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