タピオカ

@hiesho-samui

第1話

 やりたいこともとくになく部活もせずだらだらと生きているそんな私は人生で1度もタピオカミルクティーを飲んだことがない。人生で1度もないっていうのはちょっと盛りすぎかもしれない。タピオカが流行っていたころ、タピオカミルクティーを飲みたくてコンビニで売っているものは飲んだ。飲んでみたらなんか思ってるのと違い、調べてみたらこんにゃくだったことはある。あとは、ファミレスとかカラオケで頼んでみたけどなんだか硬かったり粉ぽかったり薄かったりしてこれがなんで流行ってるのか分からなかった。

 私の住んでいるところにはテレビとか雑誌とか、SNSで流れてくるようなタピオカ専門店がなくて、専門店に行くには車か電車で行かないといけない。

 飲めなくても、もういいやーとも思うけれど、聞くところによる柔らかくて独特な歯応えのあり、甘くて、味のあるタピオカに憧れは残っている。

 世間的にはブームは過ぎ去ったぽいけど、私にはブームすら来ていない。タピオカの何がいいのか、何故ブームになったのか、本当にタピオカは美味しいのかそれともまずいのか、どれくらい飲みすぎたら太るのかとかとか試したいことはいっぱいある。

 私の町は田舎だ。車がないとどこにも行けない。車なんて私の年齢では運転することすらできない。どこかに行こうとしたら親に頼むか、自転車か徒歩で自力で行くしかない。バスとか電車とかなくはないけど、本数少なすぎて逆に不便だ。

 町から車で2時間走ったところにショッピングモールがあってそこにはタピオカミルクティーはあるけれど、ここで飲むのは何か違う気がした。

 来年は受験生だ。3年生になったらタピオカすら飲むことも難しくなるかもしれない。もし、タピオカミルクティーを飲むのなら今しかないのでは?と思うようになっていた。今何もない時期を使って私は都会に行くしかないのかもしれない。進路はもう提出し、どこに行くのはなんとなく決めた。しかし、進路を確定するには早すぎ気もする。進路云々を見直すと親から何か言われそうだけど、受験する前に1度タピオカミルクティーを飲んでおかないといけない気がする。

 そんな強い気持ちがだんだんと芽生えいるが、私は今まで一生懸命何かを頑張った記憶がない。中学生のころの部活は強制だから入ったし、勉強もやらないといけない雰囲気だからやってるだけだ。今は高校生だから部活には入っていない。

 クラスの誰かが何かで頑張って表彰されてる姿を見たり、みんなにチヤホヤされてるのはどこかしらで羨ましいなとは思っていた。そんな眺めるだけの私も何かにチャレンジをしてみたいという気持ちが全くない訳ではなかったが、やる機会もなかった。

 そんな私がやりたいと思ったことがコンニャクでもなく、芯が硬くなく、味の薄くない、真のタピオカを都会で飲みたい。ショッピングモールの中じゃなくて、都会の街中を歩きながら飲みたい。

 これが誰かに表彰されたり、チヤホヤされたり特集されるようなことでないのは分かってる。でも、この思いは、私の中では大きなものだと確信してる。

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