剣聖の息子、王立魔法剣術学院で最強へと至る

@towai82

第1話 剣聖の息子



「……っ、ん~……はぁ……朝か……」


朝、目を覚ますとそこには、木製の天井と窓から差し込む日の光があった。

「……そろそろ準備するか~……ふぁぁあ。」

ベッドのすぐとなりに置いてあった木剣を拾い、部屋を出る。


俺、レイ・シャルダウォンの朝は早い

王都から少し離れた田舎村に親父と二人っきりで住んでいるため、家事全般を俺は任されている。朝から夕食の仕込みだの朝食だの全くもって忙しい限りだ。

だがそれだけに俺にとっても悪いことだらけでもなかったりする。

朝食の準備を済ませ、親父が起きるまでの余った時間、俺は意気揚々と修行に注ぎ込んでいた。


いつもの日課トレーニング、まず最初に内に眠る魔力の流れをコントロールし一定にするため、地面に座禅を組み精神統一を行う。

「─ふぅ…やっぱり寝覚めにはこれだよなぁ……」

次に木剣を拾って立ち上がり、抜刀の構えをとる。

ここでさっきの精神統一が生きてくる。不安定に上下する魔力を一定にすることで、自身の集中力を格段に上げてくれるからだ。

「ふぅ………ッ!」

すかさず抜刀ッ!木製の刃は見事に空を切り、ヒラヒラと落ちていく葉は地面に到着すると同時に両断された。

すると……「ッ!」

次の瞬間、そこには誰もいなかったはずの玄関からパチパチと拍手の音が聞こえた。

振り返ってみるとそこにはまだ起きたばかりであろう父の姿がそこにはあった。


「親父…起きてたのかよ。」


「ヒュ~、我が息子ながら相変わらず惚れ惚れする剣速と太刀筋だの~、やはりわしの代わりにもう剣聖名乗ってみんか?実力はもうその領域レベルに成りつつあるぞ?」


「─お世辞はいいよ。こんな剣じゃまだ親父に一撃だって入れられやしない……前にも言ったけど、剣聖の名は俺がちゃんと剣で親父を負かして手に入れるって決めてる。」


「しかしだなレイよ……」


「…もう朝食にするから部屋に先に戻っていてくれ。」


親父はそれを聞いたあと、少しだけ肩を落として部屋に戻った。


少しだけ親父に申し訳なく思ってしまった。


俺の親父フォーズ・シャルダウォンは、今からおよそ40年前に起きた人族と魔族の大戦で、大きく戦果を上げ、人族を大きく勝利に導き、生き残った先の大戦の英雄だ。年にして31という若さで魔族の幹部であった魔神を3体も倒したという…いわゆる怪物であった。


大剣ひと振りと己のからだ一つで魔族の大群に先陣を切り、猛威をふったその姿は魔族だけでなく人族をも恐れおののけさせたという。


人々はそうした親父の姿を像に象り、今でも王都の中心広場に平和の象徴として立っている。


そうした親父の通り名に人々は恐れと敬意をこめ、力と平和の象徴たる二つの名を与えたという。


戦神・フォーズと……

剣聖……シャルダウォンの名を……


……申し遅れた。俺の名はレイ・シャルダウォン…父フォーズ・シャルダウォンの拾い子であり、剣聖を父に持つごく普通の16歳男児で超がつく、田舎民でございます。

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