14 冬川 月曜の朝 陽キャに囲まれ

 月曜の朝って憂鬱だなぁ。

 また今日も、この生ぬるい教室で一日中過ごして、騒がしい同級生達のどうでもいい話聞かされて、何の役に立つのかわからない勉強するんだ。それが五日間も続くなんて拷問でしかない。

 

 それに、そろそろだ。隣の席のうっさい奴が駆け込んでくる時間だ。

 バタバタと足音を鳴らして、机に飛び込むようにそいつはやってくる。そしてデッカイ声でいつもみたいに

「おはよ! 冬川!」

 って言ってくる。うん、うっさい。もう少しボリューム抑えてよ……。ん?


「日焼けしすぎじゃない?」

 僕は隣に座った夏焼を見て、思わず口を開いてしまった。いつもだったら軽く頷くとか「うん」って言うだけなのに。僕はハッとして口をつぐんだ。夏焼は瞳を輝かせて言葉を繋いだ。あぁ、やっちゃった。


「そうなんだ! いいだろ! 週末にプール行ってめっちゃ遊んだぞ。皮むけて少しヒリヒリするけどな」

 こいつは「にしし」と得意げに笑ってるが、それはヤケドの域なのでは? ってくらい赤かった。日焼け止めとか絶対塗ってない。プールサイドを駆け回ってダイブして怒られる奴の焼け方だって僕は思った。僕が呆気にとられていると、声が増えた。


「結局野郎だけになったし」

 加藤雅也がやって来て、夏焼の机に腰掛けた。夏焼は笑顔のまま、椅子に背を預ける。続けて小林がやってくる。なんだなんだ。気づけばクラスの陽キャに囲まれてしまった。


「五人で行こうって行ったの、雅也だろう」

「バーカ、俺はお前に付き合ってあげただけ。それにハーゲン様買えっていったのに、結局パピコだったじゃねぇか。あとでコンビニ行って買ってこい」

「雅也だって嬉しそうに夏焼と半分こしてたじゃんか~」

 おいおい、陽キャども。わざわざ僕の席の前で会話しないでくれ。困ってるじゃないか。僕が。




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