第3話 ロボット。人はそれを魔導人機と呼ぶ
あの戦いから数ヶ月が早くも過ぎ去った。生きているということは……まあ、そういうことだ。
あの戦いからいくらか機体もマシになり、知識も得て俺は機体へいくらか改造も施した。
3戦3勝。あのあとまた二人殺した。だが初戦の記憶が酷すぎたのか比べてしまうと何も感じなくなってしまった。
だが、人殺しはよくない。だが殺さなければ俺は生きていけない。
早くもこんな地獄からは出たい。そんな時に聞いた事がある。
闘技場でトーナメントが行われ、優勝者には自由と未来が与えられると。
俺はすぐさま参加した。試合まで残り二週間。俺は訓練の勢いを増し、知識も得た。
俺が乗り込み、戦うこのロボットは『魔導人機』と呼ばれている。昔の大戦にて使用され、今尚使われているらしい。
高機動、高耐久、高攻撃能力と色々と常識破りな機体だ。その源となるのが魔導エンジン。正式名称『アリス式超駆動型魔力
そして、そのエネルギーを使い動かすのが筋肉繊維帯。伸縮自在なものだ。
この2つさえあれば機体は動かせる。が、それだけじゃ終わらないらしい。
知らないものが弄っているとどんどん出てくる。固定器具程度なら知っているがなんの機能があるのかわからない部品が頭部、肩、腰、ふくらはぎからどんどん出てきた。
解析は後回しにして元に戻していたがなにか重要な部品なんだろうと思っている。
それ以外で弄っているとどんどん軽量化ができて瞬発的な出力もコンピューターを解析すればどんな時。どんなコマンドをすれば発生するか設定できた。これで多分限界までチューニングできたはずだ。エネルギー効率も上げている。
そして、3戦行って獲得出来たもので色々と機体を強化した。
バランスを考えて上手く取り付けていくと元があんな悲惨なオンボロとは思えないほどに美しく綺麗になった。
新設した頭部保護プロテクター、肩の軽量装甲、コックピット保護増設ブロック。強度も防御力も無いが軽量で可動範囲を阻害しない構造だ。着けていれば安心感がある。
武器は一戦目の人が使っていたロングソードとナイフのみだ。盾も欲しかったのだが、ここまでが限界だった。
「これで、トーナメントを生き残る。そうすれば俺は晴れてここから出られる。短い間かもしれないが、頼むぞ………相棒」
相棒である魔導人機を見つめる。
『シザース・スカイ』
それが、この機体の名だ。
「良く出来たもんだな」
「教官………お疲れ様です」
最初に訓練をつけてくれていたマドロック教官が背後から現れた。スキンヘッドと分厚い筋肉が特徴のタンクトップマンだ。
「あの頃と見違えたな。しかし、トーナメントは一戦目から強敵だ。この機体じゃ駄目だろうな」
そうだろう。だが、それでも生きてここを出たい。またいつトーナメントが開催されるかわからないなら今のうちに自由を手に入れたい。
「でも、勝ち筋は見えるかもしれません」
「………言うようになったなあのブタが」
ブタと言われるような体型ではなかったと思うが……まあいい。
あの強敵にさえ勝てれば4戦までは辿り着けるはずだ。
『ファントム』。ツインソードを使い機動力を落として戦闘能力も失わせた後にじっくり痛ぶり殺すサディスト。
俺は、コイツに勝てるのだろうか?
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