ステルはプラットフォームを降りた
珠邑ミト
ステルはプラットフォームを降りた
序文
序文 斑な、闇
闇。
閉じた目蓋の内側に広がる、
冷えた頬へ
黒い
静かだった。
屋根も途切れたプラットフォームの最先端に、彼女はひとり立ち尽くす。
輪郭がとけたような、ふわりと仄白い
――儚い。何もかもが。
まるで、夢の底にいるようだ。
そっと手のひらを握りしめると、彼女は空を見上げた。まるで、雪の生まれる場所を見極めようとするかのように。
降ってくる。雪が己の上に降り積もる。髪に、頬に、目に、眉に、
己の、肉軀に。
彼女は再び目蓋を閉じた。
果てしないステップの大地は、その表面に干からびた草と、東の最果てまで伸びた一本の細く長い
彼女ひとりを、その上に乗せて。
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