「魔法じかけのラヴィ」二人声劇

深海リアナ(ふかみ りあな)

「魔法じかけのラヴィ」

女1 × 女1(たまは不問) 約 10 分


ラヴィ(不問)⋯塔子が大事にしてるぬいぐるみ。

(後に男の子の姿になり成長します。)


塔子⋯人間関係に悩む普通の社会人女性。



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塔子:ねぇラヴィ、私の話、聞いてくれる?


塔子:(M)悲しい時、悔しい時、

いつもそうやって私はラヴィに話しかける。

大人になると自分の気持ちを

どこかに隠しながら

人と接するようになる。

そんな時はただずっと

私を見つめるだけの

ラヴィに話しかける。

だってラヴィは⋯ぬいぐるみだから。



塔子:あなたはいつも私の味方。

だから私、あなたがいたらそれでいいわ。

今日も聞いてくれてありがとうね、ラヴィ。

明日からも頑張れそう。おやすみ。




ラヴィ:いつもお話聞かせてくれて、

ありがとうなの。

僕は塔子のぬいぐるみでよかったの。嬉しいの!


塔子:ラヴィ、ラヴィが喋ってる。

今日の夢はなんて嬉しい夢なのかしら。

私こそ、いつもありがとう、ラヴィ。


ラヴィ:今日は塔子にお願いがあって喋ってるの。

僕の心臓を、探して欲しいの。


塔子:心臓?


ラヴィ:そうなの。

丸くて、ちっちゃくて、透明な青い心臓なの。


塔子:丸くてちっちゃくて、透明な青い心臓⋯

ビー玉みたいなものかしら。


ラヴィ:そうなの。ビー玉に似てるの。


塔子:私にわかるかしら。


ラヴィ:大丈夫なの。ビー玉に似てるけど、

手にしたら輝き出すの!


塔子:それなら私にも分かるかもしれない。

でも、どこを探せばいいのかしら。


ラヴィ:この部屋のどこかに落とししちゃったの。

探して、探して!


塔子:わかった、私が探してあげる。

きっと大切な物なのよね。


ラヴィ:とってもタイセツなの。

それがないと僕、困るの。


塔子:そうよね、ラヴィの心臓だものね。

待ってて、少し時間かかるかもしれないけど。


ラヴィ:待ってるの!


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塔子:はっ⋯!⋯⋯夢。不思議な夢だった。

青いビー玉みたいな心臓⋯本当にあったらいいのに。


塔子:んー⋯夢を信じてるわけじゃないけど⋯

タンスと壁の隙間とかに⋯なんてね、あるわけないか。


塔子:ビー玉⋯。テーブルに飾ってるビー玉のなかに実は混じってたら面白いわよね⋯って、

何やってんだろ私。ただの夢なのに馬鹿みたい。


塔子:はぁ⋯そんな都合のいい話あったら嬉しいっての。

なんでも話せるぬいぐるみが目の前に現れてくれたら⋯そんな願望いだいてるから人間関係も上手くいかないのよね。

あ、埃被ってる。置きっぱなしで見てもなかったから⋯たまには水洗いでもいてあげよ。



SE(ビー玉がジャラジャラ鳴る)


塔子:青いビー玉⋯ラヴィの心臓って、こんな感じかな。⋯ん?なに?なんか⋯光ってる!?


ラヴィ:見つけてくれてありがとうなの!


塔子:え!?


ラヴィ:ばばーーん!なの。


塔子:⋯うそ。


ラヴィ:塔子!それ、僕の心臓なの。ちょうだい。


塔子:⋯はい。


ラヴィ:僕のなかにおかえり~。


塔子:ラ、ラヴィ⋯?


ラヴィ:なの!


塔子:夢の続き見てるのかしら。ラヴィが⋯男の子に⋯。


ラヴィ:夢じゃないの、本物のラヴィなの。


塔子:ラヴィ⋯嬉しい!


ラヴィ:僕も、塔子にぎゅ~っとされるの、嬉しいの!


塔子:ラヴィって、人間にしたらこんな姿になるのね。あのね、えっと、沢山聞いて欲しい話があるの!


ラヴィ:全部聞かせて欲しいの!

でもその前に僕とずっと一緒の「けいやく」結んでくれたら、お願い、何でも一つ叶えてあげるの。


塔子:する!契約する!


ラヴィ:願い事叶えた時点で「けいやくせいりつ」なの!


塔子:願い事か⋯どうしようかな。

そしたら⋯何でも話せる友達が欲しい⋯は

ラヴィがいるから必要ないか。えーっと、何にしよう。保留、でもいい?


ラヴィ:わかったの。「けいやく」はまだになっちゃうけど塔子の本当の願い事ちゃんと考えてみて欲しいの!


塔子:ありがとう。

あ、もうこんな時間!仕事行かなきゃ!

ラヴィ、いい子でおうちで待っててね!


ラヴィ:了解なの。いい子で待ってるの。



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SE(扉が開く音)


塔子:ただいまぁ~⋯ふぅ。


ラヴィ:おかえりなさいなの塔子。

なんだかお疲れな顔なの。


塔子:あぁ、ラヴィ聞いて~!


ラヴィ:よしよし、お話してなの。


塔子:ラヴィがいるから定時で帰りたかったのに、

また仕事押し付けられた~!

「分かりました 」って笑ったら「そう言ってくれると思った」だって!愛想笑いに気づいてよもぉ~!

⋯もうやだ⋯毎日毎日⋯。


ラヴィ:それは大変だったの。ラヴィが塔子を

ぎゅってしてあげるの。


塔子:ラヴィ~~~~。

⋯はぁ⋯癒される⋯⋯。ん?


ラヴィ:ん?


塔子:ラヴィ⋯身長伸びた?

ってうか、なんか今朝より顔の作りがしっかりしてるような⋯。


ラヴィ:僕、成長するの!その途中。


塔子:そうなの!?そ、そういうものなのか。不思議ね。


ラヴィ:僕、塔子と「たいとう」になりたいの。


塔子:対等に⋯私はそのままでも充分嬉しいけど⋯

ラヴィが大人になったとこも見てみたいわね。

けど、何年かかるかしら。


ラヴィ:大丈夫なの。3日もすれば追いつくの。


塔子:3日!?ちょっと早すぎない!?

いや、心なしかそう言ってるうちになんだかまた

背が伸びたような⋯


ラヴィ:塔子、願い事、決まった?


塔子:ごめん、まだ。


ラヴィ:早くしないと僕塔子の年齢、

あっという間に追い越しておじいさんになって、

死んじゃうの。ずっと一緒の「けいやく」しないと

直ぐに年取って死んじゃう。


塔子:なんですって!


ラヴィ:「けいやく」結んでくれたら塔子の年齢で

成長がストップして、あとは塔子と同じように歳をとるの。


塔子:責任重大じゃない!なんでそれ早く言わないの!


ラヴィ:ごめん。


塔子:あぁ、なんだかもう中高生の顔つきな気が。


ラヴィ:でも僕は僕なの。


塔子:わ、わかった!じゃあもう契約しちゃう!

願い事言うね!


ラヴィ:塔子はそれでいいの?


塔子:いいの!ラヴィが死んじゃう方が嫌よ!


ラヴィ:じゃあ、どうぞなの。


塔子:あ~どうしよ⋯親友⋯はラヴィがいる⋯。

あ、じゃあ恋人!!恋人欲しい!でどう!?


ラヴィ:それで決定でいいの?


塔子:決定決定!早く叶えてホシイナ~~~!


ラヴィ:聞き届けたの!えいっ!なの~~~!


塔子:きゃあっ、ラヴィ!?


ラヴィ:契約成立!これからはずっと一緒だよ塔子。


塔子:ラ⋯ヴィ?


ラヴィ:あれ?なんかいきなり体が成長してる。なんで?


塔子:声も喋り方も大人っぽくなってる⋯

それに背丈がなんか私と一緒⋯


ラヴィ:なんだろう、この気持ち。

なんか⋯僕⋯塔子のこと、好き⋯?みたい。


塔子:えぇ!?


ラヴィ:なるほど!塔子の願いは僕はが叶える、

僕がその恋人になるってことか!


塔子:ラヴィが私の恋人ーー!?


ラヴィ:塔子は「親友」を選ばなかった。

だから僕が、これからは何でも話せて、

ずっと一緒の「恋人」だよ。


塔子:はっ⋯何!?何だか顔が⋯熱い⋯!


ラヴィ:(全力のイケボでおねがいします。)

願いは聞き届けた。契約成立したんだから、

これからは僕が君を守るよ、逃がさないからね。


塔子:⋯ラヴィ⋯、こんな気持ち聞いてない。


ラヴィ:さて、まず恋人として何して欲しい?

何でもしてあげる。話聞くでも、よしよしでも、

もちろん⋯いつでも抱きしめてあげるよ。


塔子:まって!その、ハグは当分なしで!


ラヴィ:何故?


塔子:心の準備が整ったら、恋人らしいこと、しよ?


ラヴィ:OKお姫様、とりあえず、話したいこと

沢山あるんでしょ?もうぬいぐるみじゃないから

時間はかかるかもしれないけど、

まずはそこから慣れていこ。

さぁ話して、僕は、最初から君のものだからね。


[完]

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「魔法じかけのラヴィ」二人声劇 深海リアナ(ふかみ りあな) @ria-ohgami

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