逆異世界転生

@tayutaiwark

第1話 既知との邂逅

◯△✕は恐怖した。

今しがた狩りを終えたばかりの彼は大きな肉塊を背負っていた。


いつもならば余裕でその攻撃を躱せただろうが、命に換えてもこの戦利品は守らねばならない。家族が飢えているのである。


「Wooooooooooooo!!!!!!!」


精一杯の大声で威嚇をする。しかし哀しきかな、野獣はその耳から血を吹き出すも、一切減速せず突進してくる。

なんて奴だ。


◯△✕はその身に体当たりを受け、近くの川に吹っ飛んだ。

肉を離すまいと決めていた握力が災いし、両拳が赤い塊にめり込んでしまった。

それはどんどん水流に押されながら沈んでいく。


意識の霞むなか、◯△✕は川底に光る巨石を見た。


何……だ……あの色合いは……

色合いはヌルヌルと動く。というより何かが映り込んでいる。


激流は絶えず流れを変える。2つの漂流する物体は、光る巨石に吸い寄せられていた。


事切れる一瞬、◯△✕の脳裏によぎったのは、自分を吹っ飛ばしたヌーの群れのことと、眼前の不可思議な光景についてだった。

何故川底に、服を着た男二人が笑顔でふざけているんだ?


普通溺れ……彼の意識は真っ暗になった。

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