第39話 せっかくだし作曲してみません?

 どうしてか敵対モードになった圭さんをなだめつつ、部室で共用のキーボードとかギターを用意しつつ、空調のきいた部室でごろーんとしている。


「圭さんは歌う練習とかってしてるんですか?」


「しない。歌うために歌うって、めんどくさい」


「ほへぇ……」


「生活するためにゲームするのがしんどいみたいな、あれ」


「私には楽に思えちゃいますね……」


「遥は甘い……」


 この一時間ほどはずっとこんな感じで雑談しつつ、圭さんのことを掘り下げたり俺の好きな物とか紹介したりとかしてた。徐々に軽音部の部員もここに集まって、来る人来る人圭さんのことを見て女神様でも見たかのような驚き方をする。本当に所属してるだけだったんだな。



「やあやあ美空くん。そして如月圭」


「あ……名前ブッキング部長」


「おい、君は変なあだ名をつけるのが随分得意なんだな」


「個人的には特徴をよくとらえた素晴らしいコピーライターの卵だと思ってます」


「ポジティブシンキングは大切だ……て、そんな話をしに来たんじゃない」



 やってきたのは軽音部部長の椎名三鷹。相変わらず圭さんのことをフルネームで呼ぶ作者がこの名前の人いるってこと忘れてて名前がかぶっちゃった可哀そうな人だ。


「君は僕のことが嫌いなのかい?表情がえげつな……如月圭、君もか……」


「「……別に、嫌いではないけど……」」


「ハモるな含みを持たせるな」


 俺が了承してないのにいきなりあんな大々的に取り上げて勝負に持って行ったこいつを、俺は一生許さないだろう。好きとか嫌いとかじゃないのだよ全く……


「まあ、もうあんなことはしないさ。今日は美空くんに部室の使い方を紹介しておこうと思ってね。他の新入部員は四月入った直後に説明していたんだけど、君はその……忙しかったからね」


「全く誰のせいでしょうね」


「ぐはっ!うぅ、そ、それで、早速始めるが、基本ここにある楽器は学校のハンコが押されたシールが貼ってある奴は共用の楽器だ。粗末にしない限りは自由にしてもらって構わない。他に私物の楽器もおいてあるが、それは個人使用の決められたロッカーに置くことが規定だから、そこは使わないように。もちろん君が何か持ってきたときはそこにしまっておくといいだろう」


 確かに端の方を見ると、カバンなどの荷物をしまう個人ロッカーと、楽器を置いておく部屋みたいな場所がある。この部屋割と広いな……


「ま、まあ、僕がこのままいても邪魔なだけだろうから、ここいらで失礼するよ」


「うん。ばいばい」


「……うん、ばいばい………」



 部長はすごく寂しそうな顔で帰っていった。なんだかんだ言ってあの人も圭さんに部活に参加してほしかっただけなのかもしれない。ちょっとやりすぎちゃったかな……まあ絶対あのことは忘れないけど。



「そうだ圭さん。せっかくだし作曲してみませんか?私たちのバンド結成記念オリジナル曲第一号」


「私、そういうのわかんないけど」


「だいじょぶですよ!なんかコードとかいろいろ難しい言葉はありますけど、正直全く知らなくたって作れるんで」


「じゃあ、やってみようかな」


「決まりですね!」



 圭さんとのわくわく作曲タイムが幕を開けた。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 私調べでは、私の友達はめっちゃ音楽理論とか調べてから作る派で、私は思いついたフレーズからぶわぁって作る派でキングダムの将軍みたいだなって思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る