第15話 完成?

翌日の放課後


 空き教室に集合と事前に伝えていた俺は、緊張からの腹痛で少し予定時間をオーバーしてその中に入っていく。


「遅いぞ。言い出しっぺ」


 翼さんに叱責されつつも、今ここに、ついにメンバー全員が揃った!!!




「と、思ってたんだけど……」


 空き教室の中にいたのは、土下座と翼先輩と……いつもの面子じゃねぇか。


「すまん美空。ボーカルは見つかったは見つかったんだが、今日ここには来ない」


 翼先輩が申し訳なさそうに手を合わせる。


「んだよ結局このメンバーかよぉ。緊張し損ってもんだぜ」


「すまん久我。このとおりだ」


 これに関しては俺も損をした気分だ。この緊張のせいでいつもは眠れていた英語の時間も今日は目がガチガチで起きていたし……。


「せっかく私もできる楽器を見つけてきたのに……」


 俺のこの呟きに、嘘だぁとあざ笑うような顔をする土下座。そういや今日久しぶりにこいつの名前を聞いたな。ブラックでトリガーだったわ忘れてた。てか翼先輩もそんな驚かなくてよくないですか?俺ってそんなできなさそうに見えますか?


「ダメもとで頼んだのに……」


 おい声出ちゃってるよ。できないとだろう思って聞いてきてたんかい。泣くぞ?俺泣いちゃうぞ?


「で?結局なにするんよ?」


 土下座の質問に俺は待ってましたと言わんばかりにカバンからあるものを取り出す。


「てっててー!きぃぼぉどぉ」


「「止めときな?」」


「なぜ二人して我を止める!」


 さっきまで泣きそうだったけどちょっと今泣いている。泣いちゃってるよ。そりゃ確かに二人の巧みな楽器裁きには負けるかもしれないけどさ、こちとら三年よ?腐っても三年は使ってきてるわけだよ。そんなに否定しなくても……


「分かってると思うが……美空、このバンドにはベースがいないんだ」


「はい!そりゃぁもうわかってますよ!」






 忘れてたぁあぁぁあぁぁぁあああ!!!このバンドの現状聞いてる限りだと、キーボードとドラムとギターとボーカル……確かに、俺が本来やるべき楽器はベースかもしれない。けど、







小松菜:ぬこぬこ動画にこんなんあがってた






 もうあんな夢はこりごりなんだぁぁぁぁあああぁあ!!!


「一体皆さん私をどうしようっていうの!?」


「お前今何されてるん?」


 土下座男が全く分からないといった感じで俺の方を見てくる。そうだな、土下座男にはわからないでしょうねぇ!!


「ハハ、やっぱお前面白いな」


 どこをどういうふうにとらえてかは知らないけれどなんか翼先輩からお褒めの言葉をいただいた。馬鹿にされているような気もするのだけれど……


「まあ、やるってんだからもう後戻りなんてできないだろ。期間的にも全く違う畑のヤツを使うよりかは全然いい。ひとまずこれで担当は決まったわけだし、これでできそうな曲を後は探すだけ……そういえば、オリジナル曲が一曲いるんだよな?準備って出来てるのか?」


 あ……やって、ない?アハハ、なんで勝負することになっちゃったんだろ。


「俺、急に一週間後に急用が出来そうな気がするんだが休暇をいただいても……」


「はあ、逃がすと思うか?」


 このバンドって俺が一応メンバーを集めてるんだよね?翼先輩がリーダーに見えてきた。


「明日からみっちり、この教室で練習だからな」


「え、それボーカルの方って一緒に練習できるんですか?」


「あいつは当日初合わせでもなんとかできるんだよ。お前が人のこと気にしてる場合じゃないだろ。それと久我、大人しく共倒れる方が楽だと思うぞ?」


「ちょっと翼先輩なんで倒れる前提何ですか!」


「根拠のない自信はいらなからさっさと技を磨くんだ。いいなお前ら?」


「「ひぃ」」


 上下関係がはっきりした瞬間である。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


久々に星をもらいまして舞い上がってますが、久々すぎてどんなこと書いてたか半ばあいまいになっている今日この頃







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