乙女なココロの付き合い方

消えかけシャボン玉

秘密を抱えた乙女たち

第一話 普通の高校生?

突然だが、君たちはもしテレパシーが使えたらどうする?

とりあえず、周りの人の心を見てみると思う。

ギャンブルで荒稼ぎ・・・

テレパシーが使える系の芸能人としてテレビデビュー・・・

なんかもできるだろう。

もっとすごいこともできるかもしれない。

だが1つだけ言っておきたいことがある。



「・・・どうしてこうなった。」

「あなたがを知ったからじゃない?

 全く・・・どうやって知ったの?完璧に隠したはずなのに。」

「どうしてって・・・さっきから言ってるじゃないか。

 テレパシーだよ。テレパシー。知ってる?テレパシー。Do you understand?」

「まだふざける余裕があるみたいね?一旦締めとく?・・・そうね。

 うん。それがいいわね。そうしましょう。」

「待て、早まるな。一旦落ち着け。深呼吸しよう。争いは何も産まない。

 平和学習で習ったはずだろ?冷静になって話し合おう。な?な?」

「(⌒▽⌒) 」

「やめて?笑顔でネクタイ引っ張らないで?

 ちょ・・・待っ・・・く、首が・・・し、締ま・・・る・・・」



     <テレパシーは面倒事しか生まない>


ってな。




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」


マリアナ海溝並みに深い溜め息をつきつつ、

俺、藍川秦都あいかわしんとは学校に向かうため、電車に乗った。

ここでどうでもいいニュースを伝えよう。

俺は電車が嫌いだ。なぜかって?それは・・・


(今日も仕事か・・・)(やば、小テストがあるの忘れてた。)

(あのJKかわいいな・・・)(このおじさん臭い・・・)(ふぁ・・・眠い)


沢山の人の頭上に吹き出しが出ている。

まるで、ゲームキャラクターが喋っているかのように。

そう、俺は『人の心が読める』つまりテレパシーが使えるのだ。

かと言って、「こいつ直接脳内に・・・!」みたいにできるわけではなく。

ただ、相手の考えていることが文字化されて見えているだけだ。

そして問題はここから。なんとこの能力、完全には制御できないのだ。

まあ頑張れば吹き出しをある程度消したり、逆に見たい人の心を見ることもできる。

が、そんなことをするとめちゃくちゃ疲れるのだ。

具体的には持久走で校庭を10周したあとみたいな疲労感だ。

朝からそんなことをしたらぶっ倒れてしまうので、

特に目的がない場合はボーっとしている。

そして、電車などの狭い空間にたくさんの人がいる場所だと、意識しない状態だと

俺の視界は吹き出しで埋まってしまう。最初の頃は焦ったが、

もう慣れたので特に焦ることもない。

しかし、単純に鬱陶しいし、目が疲れる。

故に俺は電車が嫌いだ。証明完了。QED。

あ、次の駅で降りなきゃ。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



さて俺の通っている高校、明坂学園あけさかがくえんに着いたわけだが・・・


「おはよ〜」「え、嘘!今日って小テストあるの!?」「今日の体育だるいな〜」

「ねぇ聞いて!面白い動画見つけてさ〜」「昨日、弟がさ・・・」


大勢の生徒たちの話し声が聞こえる。朝から元気なものですねぇ〜。

でも俺には『誰が』『何を』考えているのかが見える。

前を歩いている2人の女子生徒に少し注目してみると・・・


「昨日さ、私の好きなバンドが新曲出したんだよね!」

 (聞いたのかな〜?)

「そうなの?私まだ聞いてないんだよね。」

 (はぁ、またそのバンドの話か・・・あまり好きじゃないんだよね。そのバンド)

「え〜!もったいない!昼休みにでも聞いてみてよ!」

 (すっごくいい曲だったから、なっちゃんの感想も聞きたいな〜)

「わかった!後で聞いてみるね。」

 (・・・しょうがない、あとで話合わせるために聞くか・・・)


一見、楽しく話しているように見えても、実は片方はうんざりしているようだ。

テレパシーが使えるようになって、俺の中での『友達』という概念が変わった。

神様は何のつもりで俺にこの力をくれたのかは分からない。

だが、いつも俺はこんな疑問が浮かび上がってくる。


<『友達』って何なんだ?『信頼関係』とは?>


とね。

未だに俺の中で答えは出ていない。単純そうで難しい問いだ。


「・・・行くか。」


朝から難しいことを考えるのはやめだ。

さっさと教室に行こう。

俺は冷たくなった手で靴を履き替えた。


















・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


次回から、メインキャラが出てきます。

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