チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【６０】「嫁は外！ 福は内！」「鬼は外！ ババも外！」【なずみのホラー便 第１５７弾】

「嫁は外！ 福は内！」「鬼は外！ ババも外！」

【問題文】

　あるところに、壮絶に仲が悪い嫁と姑がいました。

　先日の節分の日などには、「嫁は外！　福は内！」とがなりながら豆をぶつけてくる姑に、嫁も負けじと「鬼は外！　ババ（※）も外！」と豆をぶつけ返していました。

　※婆（ババ）と糞（ババ）の掛詞。つまりはクソババ。

　最初は面白がって遠巻きに見ていた近所の人たちも、「あんたら、どっちもどっちだろ」「いい加減にしなさいよ。大人げない喧嘩ばかりして」とついに止めに入ってきました。

　なお、彼女たちのこの節分バトルは近所の人たちのみならず、多くの人々が知るところとなりました。

　ですが、この壮絶な節分バトルの翌日、彼女たちが高級レストランでにこやかに食事をとっている姿も幾人にも目撃されました。

　なお、言い忘れていましたが、彼女たちは系統こそ違えど、どちらも物凄い美人ですので人目を惹かずにはいられなかったのです。

　意外にもあっさり仲直りしたのかと思いきや、その翌週に彼女たちはまた大喧嘩を始めました。

　互いへの憎しみが再燃ならぬ再沸騰といったところでしょうか。

　バレンタインデーが近づいてくるためか、嫁も姑も今度はチョコレートを使った嫌がらせをそれぞれグツグツと画策し始めてもいるようです。

　さて、これほど仲の悪い彼女たちなのに、なぜ先週は高級レストランでにこやかにお食事をしていたのでしょうか？

【質問と解答】

キクちゃん　：　おお……今回の問題のお嫁さんもお姑さんも相当に気が強いみたいですね。毎日が嫁姑大戦争状態だとすると、本人たちのみならず他のご家族も気が休まる時がないでしょうに。やっぱり、根本的に合わない人たちというのはいると思いますので、これはもう別居した方が良いような気がします。……と、余計なお世話ですし、話も逸れてしまいましたが、今回の問題はなぜこれほど仲の悪い二人が高級レストランでにこやかにお食事をしていたのかということですよね。おそらく……二人とも外聞を非常に気にするタイプだった……。心の中では互いに牙を剥き出しあっていても、外では周りの目もあるし、高級レストランではにこやかに食事を終えようと考えたのでしょうか？

チエコ先生　：　NO。キクちゃん、もう一度、問題をよく読んでみて。外聞を気にする二人なら、近所の人たちが止めに入るほどの節分バトルを繰り広げるはずがないわ。

キクちゃん　：　言われてみれば、そうですね。近所の人たちも止めに入るどころか、「彼女たちのこの節分バトルは近所の人たちのみならず、多くの人々が知るところとなりました。」とありますもんね。もう今さら近隣住民含む周りの人々にどう思われようが、噂の種になろうが平気なのかも。……となると、別の理由ですね。もしかして、高級レストランでのお食事は”誰か”のお祝いの場だったのではないでしょうか？　主役の顔を立てて、不愉快な思いをさせないために、大人として一時休戦としたのでしょうか？

チエコ先生　：　NO。彼女たちは、二人だけで高級レストランでお食事したのよ。

キクちゃん　：　え？　嫌いな相手と二人だけでお食事ですか？　まさに地獄のシチュエーションじゃないですか？　ますますワケが分かりませんね。もしかして、その日だけは憎しみの標的が違う人に……新たなる敵となった別の人の悪口で盛り上がったのでしょうか？

チエコ先生　：　NO。

キクちゃん　：　それなら、何かうれしいことが……例えば、宝くじに高額当選したとかで、その日だけは世界が輝いて見えて、”目の前にいる憎い女”のことも何もかも赦し愛せるほどに気分が高揚してしまったとか？

チエコ先生　：　NO。

キクちゃん　：　うーん……それなら、他に何があるだろう？　この水平思考クイズシリーズはおバカなうえに何でもありですからね……もしかして、お嫁さんもお姑さんも「ジキル博士とハイド氏」みたいな二重人格で、レストランでのお食事の時はたまたま穏やかでにこやかな人格の方が表に出てきていたのでしゃないでしょうか？　普段の彼女たちのバトルを知っている人たちからすれば、その落差はまるで舞台（高級レストラン）と楽屋（家）ほどに……。

チエコ先生　：　二重人格説にはNOね。でも、キクちゃん、正解の一歩手前にまで辿り着いているわよ。

キクちゃん　：　え……？　…………もしかして、”舞台と楽屋”の例えのことでしょうか？　あ、それに問題文を読んでみると、二人とも「物凄い美人ですので人目を惹かずにはいられなかった」わけですし、彼女たちの嫁姑バトルは”多くの人々”が知っていたとも……この”多くの人々”とは近隣住民ではなく、実は視聴者を指していたのかも……。彼女たち二人は女優さんですか？

チエコ先生　：　YES。正解よ。壮絶であほらしい嫁姑バトルは、あくまでドラマの中の話であり、共演者同士はとても気が合ってプライベートでは一緒にお食事をする間柄だったのよ。

（幕🎬）