第42話 嘘で作られた幸せ

7年前の戦いを思い出しながら話すアンタレス。


イレスは言った。



「もしお前が星の怪物ではなかったら、全はお前に告白してたかもしれないな……」





「………は?何て言った。

お前は、敵である私に好意を抱く部下を追放しなかったのか?

もう少し全が私に踏み込んでいたら、処刑も確定だろう?」


「あ?」


イレスは彼女に指を向けて言い続ける。


「お前が人間だなんて、生まれた瞬間から知っている…」


「⁉︎…何言ってんだ、おm」


「私たちはお前のような犯罪者を星の怪物と呼んでいるだけだ。

お前が今まで行ってきた数々の殺戮さえしなければ……」



イレスは鋭い眼差しで、アンタレスに言い放つ!



「お前も含めた全人類皆んなが幸せだっただろうな」


「え………」



「それこそ全はお前にプロポーズをし、お前が良ければ付き合い、やがて一生を共に歩む人になっていたかもしれない。

つまり、誰かを幸せにできたのだ!

今のお前には、だ」



アンタレスはそう言われ、何も言えなくなった。


「私はもう誰も幸せにできないのか…?

(いや、違う。私はアントニオとロッシュを幸せにしてきたつもりだ!

ケーキもプレゼントもあげて、旅行にも連れて行った…!)」




「あぁそうだ、今のお前の存在そのものが、なのだ」



「(⁉︎…そうだ、ロッシュも作り笑いだった。アントニオが彼女の怒りを抑えただけで、私は何もしていなかった。

それに、あの2人には無実の罪で警察に追われているとしか言っていない。本当は私が全て悪いのに…民衆のせいにした。

林さんもアントニオの先生も、近所の皆さんも、店の店員にも、バイト先の方々にも、2人にも嘘をついてきた)」






↓イレス

「さぁ、そろそろ終わりだ。迷惑ばかりかけてきたこの星に、謝りながら○ね。

螺旋操作能力リピーヴルト



イレスは指から、螺旋状のビームを撃った!!


「(良かったな)」

↑アンタレス



アンタレスは抵抗をやめ、その場に立ち尽くす。

ビームが目の前に来た。




















ズバァァァァァァァァァァァァン



「⁉︎」「は⁉︎⁉︎」



ビームがアンタレスの前で爆散し、周囲の皆んなが驚く。


イレスは目を見開いて怒鳴った。



「反省したかと思ったら、結局お前は抵抗した!

もう人を騙すのはやめろ!!」


「いや、私は何もしていない」

「嘘つけ!!」






「あの…それ……」



2人の前に、赤い髪をした人物が現れた。

黒いスーツのようなものを着て、ずっしりと構えている。

どうやら、イレスの撃ったビームを破壊したらしい。


そして稲妻を彼女に向けた。


↓アンタレス

「ロッシュ⁉︎⁉︎」


「あぁ、アンタレスさん、こんな所に私たちに何も言わずに来たんですね。

ね?ね?ね???」

↑ロッシュ


「反省しております……」



「アンタレスさん、あなたがやった事は本当に酷いです。

罪の無い人々をストレス発散のために○し、己の欲のまま過ごしてきた12年は人間とは思えない」


「それはごめん……」


「ごめんで済むと思っているんですか?」

「いや…別に…」


「あなたは私が失踪した母親を探すという行動だけでなく、他にも道はある事を教えてくれた。

アントニオが父を殺害したのは、アンドロイドという道が嫌だったから。

でもあなたは、私たちに道が無くても、道を作ってくれたんです」


「え……」



「だから私たちは、あなたに更生を作りたいんです。

私たちは、あなたと過ごすのが楽しいから…です」


「………そうか」



アンタレスはそっと頷くと、杖をイレスに向けて言った。


「私は、もう○しはしない」


↓イレス

「そうか、だが我々の鬱憤はどうする?

復讐心が私たちの原動力だぞ」




「本当の本当に最終決戦だ。ここで勝てても、負けても、もう二度と被害を出さない。

だから、最後に復讐の余地を与える」


「そうか……まぁ我々にとっても、それが好ましいがな」

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