第30話 無意味な殺戮

アンタレスとツリーが戦っている最中、アントニオとロッシュはシャチのショーを見ていた。




バシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ…



↓ロッシュ

「うおっほ!」

「うっ⁉︎⁉︎」

↑アントニオ


シャチが大ジャンプし、天井についたボールを尾鰭で蹴飛ばしたのだ。


そのシャチがプールに落ちて、水飛沫が飛ぶ。


おかげで会場の大半は びしょ濡れになった。



「アンタレスさんはまだ来ないのかな…」

「まだトイレなんじゃねーの?」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



かなりの時間が経過した。


もうすぐ日が暮れそうである。


アンタレスとツリーとの戦いは、まだ決着がついていない。



ツリーは必死に根やリボンを伸ばして、アンタレスに攻撃していた。

視認できず、当たれば確実に心臓を貫くほどの速度と威力である。


しかしアンタレスはそれを上回るほどの速度と火力で、ツリーからの攻撃を防御していた。



↓ツリー

「(私が家に帰って息子と1年ぶりに会話したのは4月1日のエイプリルフールだ。

その時、息子が最初に言った言葉で、私は去年のクリスマスに帰ってくると約束した事を思い出したのだ。

あともう少しで2回目のクリスマスになりかねない。だから早くここで奴を…!)」


ツリーは向かってくるアンタレスを見ながら、思いついた。


「(この林ごと爆破する!グラン・ベルボムで)」



ツリーは虚空から、巨大なベルを生み出す!


「⁉︎…あれは…」



「お前はここで終わる!!!」


ツリーが叫ぶと共に、ベルから光が漏れ出した!

































ツリーは目の前で起きた事に困惑する。


「は?………なぜ?」


なんとアンタレスが、空間操作能力を使って、ベルを上空へ転送させたのだ。


おかげでベルが大爆発をしても、どこにも誰にも被害は出なかった。


「(今までのアンタレスなら、ベルごと私を破壊していたはず。何を企んでいるんだ?

私を困惑させている隙に、私の心臓を破壊するつもりだったのか?)」


ツリーはそんな事を考えていたが、彼女アンタレスは動く素振りすら見せない。


「(何がしたいんだ?私を困惑させて何がしたい!)」





↓アンタレス

「私は今 後悔してるんだ」


「(急に何??)」


「私はなんでもっと、あの2人と一緒にいられなかったんだろうって。

私を憎んだり、恨んだりする奴を山ほど見てきたが、誰も顔や名前を思い出せない。

でも私を庇ってくれる あの2人は、好きな物や苦手な物、寝る時の姿勢まで覚えていられる。そのくらい愛を注いだつもりなんだ。

でもお前を倒すために、2人を放置している現実が、すごく辛い」


「あぁそうですか」




「だから もうはやめる…」



ドバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……



アンタレスはそう言うと、杖からビームを出し、ツリーの心臓を貫いた!!


「⁉︎……」

↑ツリー




「最後まで会話してくれて、ありがとう」

↑アンタレス



ツリーの体が塵のように消えていくのを見届けると、彼女はアントニオたちのいる所へ向かっていった。


もう辺りは暗くなっている。

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