第28話 復讐

アンタレスの読み通り、パラソルのついたテーブルがたくさん置いてある場所にアントニオとロッシュはいた。

目の前に海かあるため、風が強すぎる。


すぐ近くにはシャチのショーが行われる会場へと続く階段があった。

その麓にはペリカンが飼育されている。


2人は南の国、キリバス共和国をイメージしたレストラン〝フードコート マウリ〟の前にある売店で買った焼きそば を食べているようだ。



「いたいた〜」

↑アンタレス


「あ、アンタレスさん」

↑ロッシュ


「やっと来たんだ」

↑アントニオ


「うん、焼きそばを食べてんの」


「あ、アンタレスさんの分もありますよ!」

「気が利きすぎて泣く」


彼女は焼きそばを食べながら、2人に言い続ける。


「そうだ、もうすぐシャチのショーが始まるよ」


「マジか見たい」

「早く行きましょう!」



「そうだな。では食べ終わったし、行くk…………」


アンタレスは思い止まった。2人が戸惑う。


「どうかしました?」

「どした?」


↓アンタレス

「…………いや、お腹痛くなっちゃった。トイレ行ってくる。

2人で先に観に行っておいで」



「え、あぁはい。すぐ来てくださいね⁉︎」

「…わかったよ」


アントニオとロッシュはシャチのショーが行われるオーシャンスタジアムへと続く階段へ向かっていった。



アンタレスは2人が階段を登り切るところまで見届けると、人気の無い場所へ行く。



そして浮遊して、辺りを見渡した。


「(私を朝からつけている者がいるな。おそらく地面からこちらを監視している。

そいつは、あの林の中で待機してる…)」


シャウラを手にし、そっと呟く。


足跡追跡能力サーチストーリト…」


すると、彼女の視界に、白い靄のようなものが現れ、列を成して水族館外の林へと伸びていった。


アンタレスはそれらについていく。















「お前か、ジュラシックツリー」


林の中へと降り立ったアンタレスは、杖を向けながら怒鳴った。










「………まさか、朝からバレていたとはな」


突然、目の前の巨木が揺れ始め、幹に大量の目が現れる。

そして、その木の頂上付近に赤い巨大な目が生えてきた。


「やはりお前か。こんな昼下がりから、何の用だ?

根からこちらの動きを窺ってたでしょ。

私 今 観光中なんだけど…ねぇ?北斗七星 最年長、不敗木ふはいぼくのジュラシックツリー」

↑アンタレス


巨木の正体はアンタレス討伐組織のジュラシックツリーである。


「私も観光でここへ来るはずだったが、お前のせいで台無しだ」

↑ジュラシックツリー


「なんでよ…」


「私は子供たちと一緒にここへ来たかった」




「お前、1人しか子供持ってないだろ」

「なんで知ってんの…?」



「それで、その子供たちがどうしたのさ」

↑アンタレス


↓ツリー

「私は、に休みを取ってほしかったんだ。

お前と数々の死闘を繰り広げた、私にとってのたちにな」



ツリーは手を握りしめながら怒鳴った。



「貴様を8年前から追ってきたが、やはり貴様はクズ野郎だ!

拡と鋭糸と早苗と現実とテレビを返せ!!

彼らよりも前の世代も返せ!あきらみのりに…全員返せ、私に返せ!!

私は彼らと、貴様のいない世界で、ここへ来るはずだった。

しかし今、ここにいる目的はお前を倒す事……。

アンタレス、お前はこの世界唯一の汚点!!」




「そうか…………」



アンタレスは少し申し訳なさそうな顔をすると、目を瞑って言った。


「私が綺麗になれば、お前にとっては良いのか?

それとも私を倒す事だけがしたいのか?お前が8年も追って尚、○せなかった私を?」


「何が言いたい」




「私はもう世間に迷惑をかけるつもりはない。

しかし、だからと言ってお前が私と戦う事すらできなかったら、それはそれで後悔するだろ?

なら、復讐の余地を与えてやる」



「そうか、なら貴様を全力で叩き潰すぞ。

自然操作能力ファンタナチュラ……!」

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