第9話 ヤバい

案田 冷諏が待合室で待機していると、面接時間になった。




そして思い止まる。


「(やべ、マスクとメガネと帽子を外す必要があるじゃん)」



その場でマスクとメガネと帽子を外し、焦り始める。


素顔を露呈したら、通報ムーブ確定だろう。



「(あやべ、終わったわ)」


「案田 冷諏さ〜ん、お時間です」


「(あわあわあわあわあわあわあわあわあわあわあわa……














そうだ!!)」



案田 冷諏は、その辺にいた清掃係に声をかける。


「すみませ〜ん」


「はい、どうしまs」



ズシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



アンタレスの掌が、清掃係の顔に貼りつく!

すると、清掃係が彼女の掌へ吸収されていった!


ズババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ







「ふっ」


声も顔も清掃係そっくりになったアンタレスが、面接部屋に入る。




「どうも、案田 冷諏です。よろしくお願いします」


「どうぞお座りください」

「失礼します」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



元の姿に戻った案田 冷諏は、会場を出ていった。

もうすっかり夜である。


そして、うっきうきの様子である。


どうやら彼女は、その場で合格したようだ。

あ、清掃係は無事です。



「(いやぁ、良かった良かった良かった。

私もこれで2人を養う事ができるな)」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その頃、アレースの生物兵器たちは、アンタレスを探して墨田区を探索していた。


冬の夜は寒い。この季節では、人々は暖かいものでも食べている事だろう。


しかし彼らに安泰という文字は無い。星の怪物がいる限り。



「うぅ…眠い。妖退 眠いよぉ」


現実くんが頼りなさそうに声を上げる。

妖退も目を擦りながら、彼を宥めた。


「頑張れ、あと1時間で定時だから」


「今、夜の2時だよ⁉︎…3時に仕事終わって、4時に帰宅。

んで5時くらいに寝て、6時に出勤開始…ハァ⁉︎

1時間も寝れないの⁉︎⁉︎⁉︎」


「現実くん、後で何か食べさせてあげるから、今は耐えて」


ジュラシックツリーも現実くんのやる気を起こそうと、餌で釣ったが、無反応。


「も、もうダメ〜〜」



バタン


とうとう彼は倒れてしまった。品本が呆れたように彼の元へ駆け寄る。


「もう、妖退様、現実様が寝てしまいました」

↑品本


「えー、そんたぁぁ」


「担いでいくしかありませんね」


品本は現実くんを持ち上げようとした時、妖退が両手を出した。

真顔で指を曲げたり伸ばしたりしている。


「しゃーない…ね、ほら」

↑妖退


↓品本

「(持つから貸せ…とでも言いたいんでしょうか?

うーん…………………)」






とうとう品本は、現実くんを譲らなかった。


「え」

↑妖退


「結構です」

↑品本


「え…なんで」

「雑だからです」


「(なんだこいつ)」



「(なんか、尊いなぁ)」

↑ジュラシックツリー

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