第7話 ぱーっとやろうぜ

突然、鋭糸の腕が切れた!


「(は⁉︎俺の腕が!糸を出せねぇ)」


「じゃあね」


アントニオは掌から小さな電子レンジを出すと、そこから稲妻を放つ。

それが鋭糸の心臓を貫いた!!


「ぐふぉぉっっ⁉︎⁉︎」

「じゃーね」


アントニオが倒れていく彼の首を押さえて、息の根を止めた。



すると鋭糸の体は消滅していく…。

アントニオは驚いた。


「⁉︎…普通の人間じゃない!

(そういや、生物兵器は心臓が破壊されると気化熱によって内臓が溶けるから、体が残らないって博士が言ってた。

でもこいつからは、生物兵器の感じはしなかったけどなぁ。

もしかして妖怪?妖怪もそうだったかも)」


授業のチャイムが鳴った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







ガチャッ


「ただいま」


アントニオが家の扉を開くと、ロッシュが「おかえり」と言う。


そのやり取りを見て、アンタレスは思う。


「(組織や警察の堅苦しい挨拶よりも良いね)」



「では、買い出しに行ってきますね」


ロッシュはバッグを持って、家を出ていった。



「さーてと、アントニオ、宿題は?」

「今からやろうとしてた」


アントニオは2階の自分の部屋に行こうとしたが、何か思い止まったらしく、アンタレスの顔をじっと見てきた。


「ん、なんだ?顔に何かついてる?」


「いや、そういう事じゃなくて、なんか。

今日の昼、妖退家って所の弟子と喧嘩になったんだよ。

俺が勝ったけど」


「(妖退家……⁉︎)」





「ん、なんか体の動きが止まったけど、どうかしたか?」


「(もしや、この場所がバレたか⁉︎しかも弟子…。

妖退家の連中がここへ来る前に、どこかへ行く必要があるな。

しかしどこへ…)」


「おいどうかしたのか!!」


「いや、なんでもない。問題は多分無いから、宿題してこい!

(だが、しばらく外を出ない方が逆に良いかもしれない。

まだ ここに いよう)」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



しばらくして、ロッシュが帰ってきた。

冷や汗をかいている。


「………アンタレスさん」

↑ロッシュ



「ん、どうした」

「いや、その…







何 アイス食べてんですか」



「「え」」」


アンタレスとアントニオは、ロッシュの前でアイスを食べていた。



「すまん、考えてたら腹減ってね」

「俺はアンタレスが食べるって言ったから食べたんだ!」



「あーそうすか…。

まぁそんな事はどうでも良くて」


「「(良いんだ)」」



「スーパーにアンタレスさんの写真が貼ってあったんです!

指名手配されてますよッ。場所がバレたのかもしれません!」


「あーそれは、アントニオから聞いた。

だがこういう時こそ、冷静に対処する必要がある。

私はあまり外に出ないし、顔も出さないようにする。

すまんな、2人とも」


「いえいえ、私にとってアントニオとアンタレスさんとの暮らし、楽しいですよ!

もうこのまま ここに住んでいて欲しいなって」


「俺はそうは思わんがな」




「そうか、ありがとう。

よし、今夜は鍋にしよう!お前らも久しぶりに豪華なもの食べたいだろ?」


「良いですけど、食材がありませんよ」


「私は空間を操作する能力を持っている。

こんくらい晩飯前さ」



アンタレスは虚空にできた穴に手を突っ込み、大根を出した。


「「え」」


「な、だろ?」


「それ、どこからか盗んでんじゃねーの?」

「まぁ良いっしょ」


「「(良いんだ)」」

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