第5話 家事と警察なら警察の方が弱い
アントニオが作った朝食がテーブルに並べられた。
卵が乗ったパンに、ハムやスクランブルエッグ、ソーセージ、レタス…。
洋食と言えばの食材ばかりに、アンタレスは感動した。
「(根本的な朝食!!)」
「いただきま〜す」「早くアンタレスも食いなよ」
「え、うん」
半熟卵が滴るパンを持ち上げ、頬張る。
これ程の朝食は何年ぶりか。
レタスもシャキッとしていて、副菜としての役目も果たしている。
ソーセージやハムも良い感じに焼けており、舌触り最高!
スクランブルエッグもふわふわの食感が舌を包んでいく。
今まで朝食に、廃棄されたコンビニ弁当を食べていたのが嘘のようだ。
感動しながら ゆーーーっくり食べているアンタレスを横目に、アントニオが服を向こうの部屋で着替え始めた。
「ん、なんで着替えてるんだ?」
「学校ですから」
↑ロッシュ
「そうか、給食費は払えているのか?」
「今のところは……」
「(後々 払えなくなってきそうだ。早く仕事を見つけて働く必要があるな)」
「ふぅ、あんな豪華な朝食、久しぶりだよ」
↑アンタレス
「それは良かったです。さて」
ロッシュはアントニオを見送ると、洗濯物を干し始めた。
「ん、そうか。家事か」
「はい。両親を2人も失ってしまったので」
「そうか」
アンタレスは考える。
「よし、お前は今日は休め。私が家事を代わりにしてやる。
なぁに、疲れてんだろう?1日くらい平気さ」
「え、アンタレスさん家事できるんですか」
「できるんじゃん?」
「あーそうすか……じゃあよろしくお願いします。
洗濯物を干した後は部屋の掃除、その後は棚の整理整頓を…」
「任せなさい」
「はい」
ロッシュは2階の自分の部屋に向かった。
アンタレスは笑う。
「さーてと、久しぶりに働くか」
彼女は籠に入っている洗濯物を取ると、部屋にあるハンガーを干す棒へ吊るした。
たまに服とサイズが合わないハンガーがある事も知らずに、結構強引に吊るす。
棒のどこへ吊せば良いのかとかは特に考えていないのだが、まぁ吊るしときゃ なんとかなるだろう と言う、安直な発想が後にロッシュを苦しめる事になるだろう。
アンタレスは洗濯物を全て干し終わり、次は掃除をする事に。
「掃除機とか何年振りに触るかな」
コンセントを差し、スイッチを入れる。
「おぉ、音でかっ」
思った以上の音量に驚いたアンタレスは、しばらく立ち尽くしていた。
音を下げるボタンがどれだかわからないからだ。
そもそも音量を下げるボタンなんて存在しないのに。
「(最近の機械はわからん)」
見た感じボタンは電源ぐらいしか無く、どれを触れば良い事やら。
他人から見た今の彼女は奇怪。掃除機の音がうるさいから、音量下げようとしているだなんて思えない。
「(この私が家電に負けるだと?警察をも子供のように扱うこの私が?
いや、何かあるはずだ!絶対にな!解決できるはず!
レールよ見ているか、私がこの家電を完璧に使いこなしてやろう)」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、ありがとうございます、アンタレスs」
2階からロッシュが現れて、扉を開けて言う。
しかし目の前では、位置がバラバラの洗濯物と、掃除機を触りまくっているアンタレスが。
「………えぇ??
(なんの儀式?え、怖。もしや掃除の仕方を知らない?)」
↑ロッシュ
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