胸を叩き、賞賛を

あんちゅー

惜しみなく何よりも傍で

大快晴だ。


晴れやかな朝日が世界を染め上げる。


夜空の下ではよく見えなかった彩色も


日が差せば、本当の色を讃え始める。


誰もが目覚めるそんな朝なのに。


そこには穏やかでなく、明日に希望を持てないでいた君がいた。


辛い


苦しい


このままじゃ嫌だ


頑張ってきたのに


人生は好転しない


ほしいものはてにはいらない


もう、死にたい


君はそう言って膝を抱いていた。


努力は自分では分からないもだよね。


何も伴わないと、誰も褒めてくれないよね。


この世界では結果が全てだから。


何も得られない努力なんてただの自己満足で、それを喧伝するのはくだらない自己陶酔だから。


誰も努力している人を何も分かっていないし、分かってあげられないから。


寧ろ声を掛けてくる方が鬱陶しく思うものだよね。


それでも僕は言うよ。


誰より傍にいるから言うんだよ。


誰が否定しようと、自分で自身を否定しようと。


自分に自信が持てず、先が見えずもがいている君を見て、例え誰かが笑ったとしても。


僕はきっと頑張ったねって言ってあげるから。


在り来りな言葉しかない。


それだけしか掛けてあげられない。


でも、それが全てだから。


君の将来は保証できないし。


君の夢は叶えてあげられない。


君の人生がどこに転ぼうと、僕にはなにもしてあげられない。


それでも君はどうせ頑張るんだ。


掴めるか分からない夢も希望も金も名誉も、結果全て


君は手に入れるために頑張るんだ。


それなら僕は声を掛けてあげるだけだ。


頑張ったねって声を掛けるだけだ。


きっと夢は叶うよってなけなしの言葉を、掛け値なしに掛けるだけだ。


だって僕は君の1番近いところにいるから。


苦しくなったらいつだって胸に手を当てて。


僕の鼓動を聞いて。


脈動する心臓を、僕が叩く心臓の、一つ一つが君への言葉だ。


頑張ったね。


頑張ってるんだね。


まだ、これからも頑張れるでしょう?


苦しくなったらきっと耳を傾けてね。


いつだって君の傍にいるから。

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