理系男子の異世界転移 異世界にはない科学技術で俺だけが無双する

竜翔

第1話 突然の転移

気が付くと、加崎洋平かざきようへいと呼ばれる青年は見知らぬ砂漠で放浪としていた。

見覚えのない景色。いつの間にかここにいて気づけば一日が経とうとしていた

その間水も食も行っていない。水と塩があれば一週間は人は生きていけるとはいうが水も塩もなく殺伐とした不毛の砂の海が辺り一面に広がっていて砂塵のみが吹き荒れている。

現代人である貧弱な彼はそのまま環境に耐え切れず

「ああ…もうだめ…」

そう言って。砂の地面に突っ伏した。

何もわからぬまま死ぬのかと思うよりも飢えと渇きを満たしたいと思いながら倒れ意識が暗転した。

そこに…、一人の少女が馬のような生物に乗って倒れた男を見下ろしていた

それを見て彼女は首を傾げた


「・・・なぜこんなところに人が?」


見たところ砂漠におおよそ適応できぬ装備のまま男は倒れている

少女は謎の足跡を追ってきて見たはいいものの

賊の類ではないことは一目瞭然で金目の物も一切持っていないことがわかる

つまりこのまま放っておいてもいい。理由は分からないがこんな場所に無謀で来たこと自体が悪い。彼女が見知らぬ男に感心を抱かない以上助ける理由は毛ほどもない

だが、砂に倒れて埋もれかけていた痩躯の男に対し彼女は彼を片手で背負い馬に乗せる。さながら天日干しの洗濯物のように馬に乗せられた男は彼自身知らぬ女性に助けられたのだった。



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Al・Si・Ar=√32+KK-YB

UG=^5+ 8/66=6,443-RF

=Σ∞^55

元素による複合でもたらされるエネルギー生産式

飽和機構金属メダストルン

俺が独自に作り上げた金属そのものがエネルギーを発する数式だ

これを造り出し新たなエネルギー問題の解決の一助となる

そう思っていた矢先。気づけば見知らぬ砂漠に突っ立っていた

そして軟弱な俺は一日足らずで死んでしまったらしい

ああなんとも情けない。高校生の身であっけなく死んでしまうとは

だが…死んだにしてはまだ感覚が生きている

これは活性細胞の枯渇による蘇生。いわゆる自活反転作用である

ふと目を開ける。映ったのは知らない天井。木造建築の梁が軋みを上げているどこかの古宿を想起させた

横を向く。どうやらこの人が助けてくれたらしい。剣を杖代わりにして眠っている

上背を起き上がらせる。特に問題はない。だが食べ物と水が欲しい

飢え乾いている現状にまたも頼るべきだろう。眠っている女の子をゆすって起こす


「あの…起きてください」


「んあ…ああ、起きたか。大丈夫か君?」


「ええ、あなたが助けてくれたんですか。ありがとうございます」


「別に気にしないで。ただ目の前で野垂れ死にされると目覚めが悪いのよ」


「それなら睡眠を促進するフルニトラゼパム。エスタゾラム。ニトラゼパム。ニメタゼパムを調薬したものを飲むといいですよ」


「・・・?お前、何言ってんだ?」


「ああすみません。ようするに睡眠薬の作り方ですよ

さっきの調合で目覚めがすっきりするので」


・・・・・・・・・・・・・・・・・

よくわからないがしばしの沈黙。何か的外れなことを言ったのか俺は?


「はぁ~~~別に眠れねーわけじゃねえし後味悪いって意味だ

よくわかんねえこと言ってるくせにそんなこともわかんないの?」


「はあ、なるほど…でも俺とあなたは関係ないでしょ?俺が死んでも関係ないでしょうし」


「あー…きみ、友達いないだろ」


なぜかいわれのない事を言葉として呈されたようだ。まあ事実だが


「まあ俺の友達の有無はおいておいて、助けていただきありがとうございます。

何かお礼が出来ればいいのですがなにぶん持ち合わせがないので…」


すると腹の虫が鳴って体がよろける。お腹すいたな。のども乾いたな

その様を見て突然キッチンらしき場所へ向かい彼女は煮ていたものをさらによそい

スプーンですくい無理やり俺の口に突っ込んだ


「ぐほッ!何するんですか!?」

「腹減ってんだろ?食わなきゃ死ぬぞ」

「でもよばれるわけには…」

「良いから食え!!!!!!!」


恫喝されて俺は用意されたスープをすい水を飲んで死んでいた細胞が生き返る感覚を覚える


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「ありがとうございます。ですがここまでされたら何をお返しすれば…」

「いらないよそんなの。後は好きにすればいいさ。だから私の前で死なないでよね」

「わかりました。このお礼は必ず」

「さっきから会話が平行線だけど大丈夫!?あなた頭もおかしいんじゃない?」


そう指摘されてちょっとムッと怒ってしまう。これでも頭がいい事だけが取り柄なだけでそれを見ず知らずの恩人といえども反論してしまう


「大丈夫です!頭はすっきりしてます!今なら何か作れそうなくらい平気です」

「ん?さっきからの話を聞くに君は錬金術師かなにかか?」


「いえ、学生です。申し遅れました。俺は 加崎洋平かざきようへい

メドロン高校の一年生で機械学を専攻しています」

「きかい?なんじゃそりゃ?」


「? 人類の英知です?」

「言葉じゃわかんねーから教えろよ」


「はい。機械とは金属と電線を組み合わせて電気による稼働するものです

それまでの工程で数式の解による証明で構築され現代社会に欠かせないものになっています」

「?????????」


「あれ?かなりわかりやすく説明したつもりですが…」

「いや、まず…金属はわかるけどでんせんって何だ?

あと電気は魔法だろ?雷とかの災害で金属と関係ないだろ

そしてすうしきってなんだ?それがあったら何が出来るんだ?

言ってることが支離滅裂だぞ…」


・・・・・・・・・・・・なんだろうか。これはまるで科学という概念が存在しないと成立しない会話だ。そして。魔法。そんな迷信を信じているのだろうか…?


「魔法?何言ってんですか。そんなもの存在するわけないでしょう」

「は?お前魔法知らねーのか?本当に記憶がおかしくなってんじゃねーか?」


確かに。話が平行線だ。まるで別の世界に来たような。文明水準が全く違う世界に迷い込んだような…

いつのまにか見知らぬ土地にいた。日本で砂漠は鳥取あたりだろうがあんなエジプトめいた場所にいた覚えはない

・・・もう少し聞いてみよう


「あの、ここっていったいどこです?エジプトですか?」

「えじぷと?なんだそりゃ。ここはグリュヴァード大陸の辺境の町ガブアだ

お前さん。着の身着のままでなんであんなとこほっつき歩いていたんだ?」

「それが、いつの間にかここにいたんですよ。グリュヴァード?ガブア?知らない場所だなぁ…」

「そういや君はどこ出身だ?近くに村はないけど」

「日本です。東京都渋谷区」

「??????なんじゃそりゃ?」


・・・・・・・・・・・・・

おかしい。めちゃくちゃおかしい。どうみても互いの常識がかみ合っていない


「あの、ここって地球ですか?」

「チキューってなんだ?」

「星の名前ですよ。丸い星の上で生物は生きているんです」

「星?夜空に浮かぶあの星か?はっはっは。そんなのにのれるわけねーだろ」


ああ、間違いない。確実にわかった。俺はどうやら…

別の世界に迷い込んだらしい










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