第5話
「さぁ、手合わせするわよ!」
そう言うと同時に木剣で斬りかかってくる。
「俺は素手かよ!?」
その問いの回答とばかりに斬撃が飛んできた。
どうやら彼女は自分の有利を崩すつもりはないらしい。
斬撃を避け僕の拳が届く間合い入った瞬間、狙ってましたと言わんばかりにとんでもない速度の突きが飛んできた。
「ちぇ、当たったと思ったのに...」
「あんなんがあったら、死ぬわ!」
「でも、死ななかったじゃん。」
でも、じゃないよと心で呟きながら全力で彼女の剣を避け続ける。
さっきよりも速く、鋭くなり続ける。
今まで虚を切っていた木剣が僕の髪の毛を掠めた。
一旦距離を取り、呼吸を整える。
彼女は追ってこない。
僕と彼女の距離がじりじり縮まっていく。
金治は木剣を上段に構えて必殺の間合いに入ってくるのをただひたすらに待つ。
僕は左足を前にして、右肩を引き、構えをつくる。
拳士の戦い方はよく分からないのでなんちゃってだ。
大振りの斬撃が飛んでくる。僕からみて少し右に斬撃がずれたので左に少しずれて避けながら拳を前に出し、彼女の顔の前で止める。
「はい、僕の勝ち」
無言で蹴られた。
「はぁ、今日は勝てると思ったのになぁ」
「僕は戦うのが仕事だからね」
僕から言えば何も戦闘の仕方を学んでない、ただの少女がここまでやるのだ。
彼女が然るべき所で剣を学んだら。普通に殺されかねない。
ドオォォォン!
墓守りの物語 お味噌汁の具 @omisosirunogu
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