スクラップブック
水分高校バス事故の影に“呪いの写真”?! (週刊太陽 2015.09.06)
水分高校バス事故の影に“呪いの写真”?!
週刊太陽 2015.09.06
今年6月、東名高速道路で走行中のバスが対向車線へ進入したトラックと正面衝突し、バスの乗客に多数の死傷者を出した痛ましい事故は読者の記憶に新しいだろう。何よりもショッキングだったのは、事故に遭ったバスに乗っていたのが輝かしい未来が待っていたはずの水分高校の3年生だったことだ。
事故当日、水分高校の3年生はクラスごとにバスに乗り校外学習先の自然の森公園に向かっていた。そして高速道路を走行中、6組の生徒たちが乗っていたバスが突如反対車線へ飛び出したトラックに衝突され、乗っていた教師・生徒合わせて18名が死亡、他の生徒たちも多数が重軽傷を負い病院へ搬送された。
事故発生から3ヶ月が経とうとしている現在、警察はトラックの居眠り運転が事故の原因であると断定した。にもかかわらず、事故の原因は他にあるという噂が流れているのだ。そしてその原因というのは、怨霊の呪いであるという。にわかには信じがたいものであり、オカルトや都市伝説の部類に入れるのが妥当だろう。
しかしここで一つ疑問が浮かぶ。なぜこの事故がオカルトマニアの語り草に選ばれたのだろうか。「火のないところに煙は立たない」とはよく言ったものである。この諺通りならばこの事故にオカルトチックな噂が立ったのは、単なるオカルトマニアの気まぐれではないはずである。小誌はこの噂話の源泉を探ることにした。
自己の生存者の一人である藤川由梨さん(仮名)が小誌の取材に応じてくれた。藤川さんは水分高校3年6組の生徒で、事故当時は右側の窓際に座っていた。
記者が早速事故と呪いについての噂との関連性を尋ねると、藤川さんは興味深いことを語り始めた。
右側の窓際、つまり対向車線を見通せる位置に座っていた藤川さんは、事故直前不可解な光景を目にしたという。
「事故でパニックになって記憶がおかしくなっただけかもしれませんが」
そう前置きをして藤川さんは話し始めた。
バスで友人たちと楽しく話しているなか、トラックのクラクションに気づいた藤川さんが窓の方を向くと、事故を起こしたトラックが急ハンドルを切っているところだったという。トラックの前には黒い影が佇んでいたそうだ。その影はどうも濃紺の浴衣を着た女性の人影のように見えた。その光景を見てトラックはその女性を避けようとしてハンドル操作を誤ったのだと、藤川さんは理解した。そしてトラックはそのまま対向車線を走っていたバスに衝突し事故が起こった。
しかし警察がトラックの居眠り運転を事故原因としていることからわかるように、事故の直前にトラックの前に立ちふさがった人物はいなかったとされている。
しかし藤川さんはこの光景を単なる記憶の混乱であると片付けられていないそうだ。なぜなら藤川さんはこの時にトラックの前に立っていた女性を事故の前に見ていたのだ。
それは校外学習を一週間前に控えたある朝だった。いつも通り登校すると、教室に人だかりができていたのだ。その中心は黒板に貼られていた一枚の写真だった。カラー写真ではあったが、画質の荒さから一目で随分古い写真だとわかったという。
「見たら呪われる写真だよ」
藤川さんに気が付いたクラスメイトの一人が、怪しげな笑みを浮かべて教えてくれた。怪談の類が苦手な藤川さんはすぐにその場を離れた。しかし、物好きな一部の生徒たちは、授業が始まってもその写真にまつわる都市伝説や、見た者に降りかかるという呪いの噂を楽しそうに話していた。
この事故で命を落としたのは、そのように心霊写真についてあることないことを言っていた生徒たちばかりだという。そして教室の写真には、一週間後に事故現場で目撃する浴衣の女が、陰鬱な表情を浮かべて写っていた。
藤川さんは写真の呪いと事故の因果を否定しようとすればするほど、一連の出来事が偶然とは思えなくなってくるという。
水分高校のバス事故が呪いによって引き起こされたという噂の真偽は未だにはっきりしない。しかし、単なる偶然と簡単に片づけるわけにはいかない出来事は実際に起きていた。そしてそれが火元となり噂が広まっていったことは明らかであろう。
註:「藤川さんが見たという呪いの写真」というキャプションがついた画像の部分は切り取られていた
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