最恐心霊写真を追う!!「ヨシエさんの写真」調査記録① (月刊ファクト 2013.06)

『最恐心霊写真を追う!!「ヨシエさんの写真」調査記録①』

月刊ファクト(如水出版 2013.06)


夏の夕暮れを捉えた一枚の写真。お祭りだろうか、石畳の参道の両脇には屋台が肩を並べ、人々の頭上には明かりの灯された提灯が吊るされている。

実はこの写真はいわくつきの呪物なのだそうだ。なんでも、一目見ただけでその人は呪われてしまうと言われている。

ピントが合わせてあるのは真ん中に佇む一人の女性だ。浴衣を纏い、お祭りを楽しもうとしているようだが、その表情はどこか陰鬱である。どうして彼女はお祭りに似つかわしくない表情を浮かべているのだろうか。

被写体の女性は城山佳江という名前で、この写真が撮られた1997年、すでに彼女は五人の子供を殺害している。足元に映った苦悶の表情は、彼女が手を掛けた子供の怨霊なのかもしれない。

逮捕されるまで、彼女は小学一年生から中学二年生までの子供を8人殺害したのち、遺体を自らの手で解体して山林に遺棄した。8人を殺した手口はいずれも残忍さを極めている。

彼女が表情を陰らせる原因かもしれないモノもレンズは捉えていた。浴衣の脚のあたり、何やら不気味な影が見えないだろうか。単なる布の皺と思われるかもしれないが、よく見て欲しい。

自然にできたシワにしては形がはっきりとし過ぎている。むしろまるで苦しみに悶える子供の顔のように見えるのではないだろうか。噂によるとこの顔は、城山佳江に殺された子供の霊だそうだ。弄ぶようにして奪われた幼い命が、カメラに影響するほどの恨みを抱えこの世に留まっているのは不思議なことではない。

しかし、彼を殺したのは写真の城山である。なのになぜ写真は見た者までも呪うとされているのだろうか。城山本人だけでは収まらないほど恨みは深く、第三者にまでも呪いが伝わる、というわけではなさそうだ。そもそも城山は精神鑑定によって、児童の殺害と死体遺棄に関して無罪を勝ち取っている。

城山本人ではなく、そして写真を見たこと以外関りのない人への呪い。なぜそのような不可解なものが、事件から十年以上経過した今でも語られ続けるのだろうか。もしかすればこの写真の裏には深い何かが隠されているのかもしれない。

そこで小誌では、この呪われた写真について調査し、その結果を連載していくことにした。


北見祐介


註 スクラップ帳に貼られた雑誌記事の切り抜きは、話題に上げられている写真が意図的に切り取られている。

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