闇鍋をしたらなぜか勇者と魔王と神様とラスボスの魂まで混ざったんだが?
塵兵衛
プロローグ
【side:某秘密結社】
高層ビルの最上階の一室、そこは最高級の家具や有名な絵画が並び豪華絢爛な雰囲気を醸し出している。
その部屋で1人の老人が窓の外を眺めながら佇んでいるとドアをノックする後が聞こえる。
コンコン
それから部屋の外から女の声が聞こえた。
「ボス、例の準備が整いました。いつでも始められます」
「そうか、ではすぐに始めよう」
老人は女にそう返事をした。
「これで長年の夢が叶う!これで我々は永遠を手に入れる!」
そう言って老人は部屋を出て行った。
【side:とある一族】
街から少し離れた山林の中に隠すように入り口に鳥居がある大きな純和風の建物が建っている。
その建物の中には白を基調とした着物を着た人が20人ほどの集まり2人の男を見つめ静かに正座をしている。
「それではこれより継承の儀を行う」
白の装束に白色に白紋の袴を着た老人が立ち上がりそう宣言する。
「は、お願い致します。」
白い装束に紫地に白紋の入った袴を着た50代の男は返事をすると正座を正す。
「今からお前に我が一族の守護神を継承する、無事に継承出来ればお前が次の一族の長となる。いいな?」
老人は厳しい視線を目の前の男に送る。
「は!全身全霊でその役割をまっとう致します!」
男は老人の厳しい視線に背筋を伸ばす。
「よろしい、では始めるとしよう」
老人は大幣をもち祝詞を唱え始めた。
【side:忘れ去られた隠遁者】
誰も足を踏み入れることがない山奥にさらに結界をはり誰からも見つからないように隠したボロ小屋の中は劣化した書物が散乱し床には謎のインクで書かれた魔法陣が鈍く光を放っていた。
「あぁ、わしの長年の研究がついに実を結んだのだ!」
もはや服とも呼べないボロ布を着た老婆が魔法陣の前で歓喜に湧いている。
「これでわしの研究を馬鹿にしてきたヤツらを黙らせてやる!」
老婆そう言って呪文を唱え始めると魔法陣の光が強くなっていく。
「異界の魔王よ!ここに顕現しすべてを破壊したまえ!」
老人が最後にそう叫ぶと魔法陣は呼応して辺り一面を明るくするほどの輝きを放った。
そして光が収まるとそこには老婆が倒れているだけだった。
【side:どこかの異世界】
どこまでも続くような真っ白な何もない空間で一柱の女神と5人の人間が話をしている。
「無事に魔王を倒したのですね!と言いたいところですがどうやら魔王の魂は別の世界に行ってしまったようです。」
美しい女神が残念そうな表情を浮かべてそう語る。
「なんだって!?それって大丈夫なのかよ!?」
厚い鎧に身を包んだ男が驚き声を上げる。
「もちろん大丈夫ではありません。魔王程の強大な魂が別の世界に渡ればこの世界との間の空間に大きな穴があき、それが拡がれば二つの世界が一つになってしまうでしょう。」
女神は鎧の男の問いにそう答える。
「それじゃいったいどうしたらいいの!?」
ローブに身を包んだ女がヒステリック気味に叫ぶ。
「誰かがその異世界に行き魔王の魂を連れ戻して貰わなくてはいけません…」
「それで俺たちにその役目をして欲しいって事か。」
弓を持った男は女神の言わんとする事を察した。
「どうか2つの世界を救ってください!」
女神は祈るように頼み込んでくる。
「もちろん任せてください。そうですよね、勇者様?」
僧侶の格好をした女は1人の男に目線を向けると他の仲間達もその男に視線を向けた。
そして勇者と呼ばれた男は静かに仲間達と女神に頷いて見せた。
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