光銃閃姫レイガンスリンガー! 〜人気最底辺のメスガキ変身ヒロインが明日から本気出す話〜
オリーブドラブ
第1話 開幕わからせ!? 自称No.1のメスガキ変身ヒロイン、巨漢ヴィランのワンパンに墜つ!
〜登場人物〜
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本作の主人公。ピンク基調のレオタード型強化服を纏って戦う正義のスーパーヒロイン……なのだが、自信過剰な性格が玉に瑕。実力は確かなのだが、その生意気で慇懃無礼な態度が災いしてかヒーロー人気は常に最下位。華奢な短身に反した、豊穣な爆乳と安産型の巨尻が特徴の美少女。身長145cm、年齢は16歳。
スリーサイズは上から105、58、96。カップサイズはJ。
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国際秘密犯罪組織「
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人気No.1ヒーローとして世間から称賛されている、飄々とした佇まいの美青年。人工知能「ロブ」を搭載し、バイクに変形する機能を持った青いパワードスーツを装着する。スーツを開発した科学者の元教え子でもあり、装備開発の心得もある。昔からの顔馴染みである風花のことを「フー坊」と呼び、子供扱いしているようだが……? 身長190cm、年齢は24歳。
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風花のファンだというネットユーザー。ネットで叩かれながらもヒーロー活動を続けている風花を真摯に応援している。彼女のデビュー時から好意的であり、いつも彼女を勇気付けるようなレビューを送っているらしい。
◇
「ヒーロー」という存在が職業の一つとして社会に浸透して久しい、22世紀の日本。その首都として長く栄えて来た東京は、数多のヒーローやヴィラン達が絶えず対峙する修羅の街と化していた。
だが、一口に「ヒーロー」と言っても玉石混交。多大な功績を挙げて将来を嘱望される優秀な者も居れば、これといった成果を出せない落ちこぼれも居る。ヒーロー達の人気や実力を反映させた「ランキング」は、彼らの存在意義を左右する大きな指標となっていた。
――2121年4月。春の季節を迎えていたこの日の夜も、そんなランキングに踊らされたヒーロー達の
たった1人の屈強なヴィランを大勢で取り囲み、一気に殲滅しようとしている、個性豊かなコスチュームを着たヒーロー達。武装した警官隊を容易く蹴散らし、暴虐の限りを尽くしていた凶悪な超人を包囲している彼らは、各々の「必殺技」で勝負を決めようとしていた。
「ついに追い詰めたぞ……
「国際秘密犯罪組織『
赤と黒を基調とする大型の装甲服。その鎧を纏ったヴィランの巨躯は、まるで岩山のようであった。2mを超えるその体躯は外見以上の迫力であり、大きく曲がった2本の角は雄牛を想起させるラインを描いている。
まさに、圧倒的な暴力――という言葉の擬人化。それがヒーロー達の相手である、「BIGBULL-CHARIOT」こと紅金牛太郎だった。彼は圧倒的に不利な状況に立たされていながら、黒い鉄仮面の下で不遜に鼻を鳴らしている。
「……さっき、警察の連中からも全く同じセリフを聞かされたぞ。言ってることもやってることも同じなら、お前達のような有象無象が『ヒーロー』などと自称している理由はなんだ? コスプレの見せ合いなら夏コミでやれ。今はまだ4月だぞ」
「な、なんだと……!?」
「俺が求めるのは、その名声に相応しい実力を伴った『本物』だけだ。数だけにモノを言わせ、成果という名の点数稼ぎに終始する紛い物共などお呼びではない。……
「……ッ!」
自分を包囲しているヒーロー達の多くが、「ランキング」の上位者であることを知りながら。彼らを歯牙にも掛けない紅金は辺りを見渡し、絶対的な強さと人気を誇る「No.1」ヒーローの名を口にする。
この時代のヒーロー達の頂点に君臨し、「最強」の名を欲しいままにしているROBOLGER-X。紅金が属している犯罪組織「BLOOD-SPECTER」が、最も恐れている男だ。
紅金はその「No.1」を倒すために組織に鍛えられ、専用の装甲服を与えられているのである。彼にとってはまさに、自分の存在意義そのものと言ってもいいのだろう。それに比べれば、高ランクヴィランの首欲しさに群がって来た
「い、忌々しいッ……! 貴様のような自己顕示欲の塊は、どいつもこいつもあの
「俺達を侮ったこと、今度こそ後悔させてやるぞッ! 刑期より入院期間の方が長くなるかもなぁああッ!」
「……ふん。下卑た感情を隠しもしないとは。これでは、どちらがヴィランなのか分かったものではない。街中での暴走行為、銀行強盗、警察署への襲撃……。そういった俺の具体的な悪事に対する言及すら無いのか? 紛い物なら紛い物なりに、ヒーローというものを演じる努力ぐらいしたらどうだ」
一方、紅金の挑発に青筋を立たせていたヒーロー達は、怒りに任せて「必殺技」を一斉発射しようとしていた。あまりに突出している「No.1」の力と名声を妬む彼らは、そのドス黒い負の感情さえも糧にしている。そんな彼らの心根を見抜いていた紅金は、侮蔑の表情で辺りを見渡していた。
「ぬ、抜かせぇえぇえーッ!」
そして、最も怒りを露わにしていた「No.2」のヒーローが怒号を上げ、力を解き放とうとした――その時。
「やぁあぁああーっ!」
「……なッ!? お、おい待てッ!」
彼らの和を乱すように包囲網から飛び出した1人のヒーローが、真っ向から紅金目掛けて一気に飛び出していた。それは明らかに、仲間達との連携を無視した行為。自分の手柄に固執した、愚か者のスタンドプレーだ。
ピンク色を基調とする、流線型の専用バイク「
「……上等っ! だったらこの私こそが、そのROBOLGER-Xを超える真の『No.1』であることを……教えてあげましょうっ!」
「ぬ……?」
そのヒーロー……否。
145cmという小柄な体躯である彼女の蹴りは、紅金の巨躯を揺るがすには軽過ぎたのだ。彼女の芳しい
「……この程度で奴を超えている、だと? ガキの見識などたかが知れているものだが、これは無知で済まされる愚かさではないなッ!」
「うひぃっ!?」
ピンク色のレオタード型強化服を纏っている美少女。彼女は反撃のラリアットを軽やかにかわし、背部の
白く肉感的な太腿と桃尻が汗に塗れ、扇情的な光沢を放つ。ピンと伸びた優美な素足の爪先も、ほのかに甘い匂いを帯びていた。装甲を極限まで削ぎ落とし、機動性のみを追求した強化服。その特殊繊維は、装着者のボディラインをくっきりと浮き立たせている。
「ふぅっ……! さすがのタフネスですねっ……! 並の雑魚ヴィランなら、今の蹴りだけで1発KOなのにっ……!」
間一髪かわしはしたが、ラリアットの威力を風圧だけで感じ取っていたのだろう。機械翼を展開して着地した瞬間、ボブカットの黒髪や白い柔肌からは、冷や汗の雫が飛び散っていた。彼女が改めてファイティングポーズを取ると、その弾みで強化服を押し上げている豊満な乳房と桃尻が、ぶるんっと上下に揺れ動く。
低い身長に対し、あまりにも豊穣に実っている超弩級の爆乳。安産型の巨尻。細く引き締まった腰つきによって強調された、そのアンバランスな膨らみは「トランジスタグラマー」という言葉では到底収まらない領域に達している。体格こそ小柄だが、その瑞々しい唇と柔肌はあまりに蠱惑的な色香を帯びていた。くりっとした瞳や愛らしい美貌とは裏腹に、豊満な乳房と巨尻は熟れた果実の匂いを漂わせている。
「……今のはほんのご挨拶ですっ! この私……
生意気そうな表情で紅金の巨体を睨み上げている彼女――RAY-GUN-SLINGERこと
その愛銃を握る彼女は釣鐘型の爆乳をぶるんっと突き出し、臆することなく巨大なヴィランと真っ向から対峙していた。後方に突き出された安産型の桃尻も、どたぷんっと豪快に弾んでいる。扇情的なボディラインをくっきりと浮き立たせているレオタード状の強化服は、凹凸の激しい彼女の身体をこれでもかと強調していた。
――愛らしく可憐な顔立ちに、低い身長。それでいて出るところはあまりに出過ぎている、アンバランスで規格外なボディ。そんな彼女の容姿と確かな実力が合わされば、かなりの人気に繋がる。はず、だった。
「あ、あのバカ……! 俺達全員での包囲殲滅で仕留めるって作戦だったのに! チームワークを乱しやがって!」
しかし、自分独りの手柄に拘る彼女のスタンドプレーは同業者のヒーロー達や、その様子を見ている視聴者達からの不興を買っており。今や彼女の人気は、最底辺に落ちぶれている。それを自覚しているにも拘らず、当の本人は「自分の実力を周りが理解していないだけ」と強がっているのだから始末に負えない。
「不味いな、このままでは作戦が台無しだ……! 奴の装甲は生半可な火力じゃあ、傷一つ付けられないってのにッ!」
「おいどうする、いっそあのバカごと撃っちまうか!? 俺は別に構わねーぜ! あの目立ちたがり屋なメスガキは、前々から気に入らなかったんだ!」
何百回と目にして来た彼女の独断専行に心底うんざりしているのか、ヒーロー達はたった独りでヴィランに立ち向かおうとしている爆乳美少女に忌々しげな視線を送っていた。中には彼女もろとも紅金を攻撃しようと言い出す者まで居る。
「いや……あんなのでも一応、俺達と同じ正規のヒーローだ。それに、見た目
「おやおやぁ〜? 後ろのヒーローさん達はなぁにモタモタしてるんですかぁ〜? もしかしてぇ、この期に及んで怖気付いちゃうよわよわさんだったりしちゃうんですかぁ〜?」
そんな彼らの怒りを、自分の美貌と才能に対する妬みと捉えていた風花は、ちらりと流し目で彼らを見遣りながら蠱惑的な微笑を浮かべている。16歳という若さでありながら、その瑞々しい桜色の唇は妖艶な色香を滲ませており、幼い顔立ちとは裏腹なフェロモンを振り撒いていた。
「あ、あんのメスガキがぁあ……! どの口でッ……!」
彼女の性格を知らない男なら一瞬で見惚れてしまうところだが、生憎そんな幸せな人間などこの場には1人も居ない。くすくすと自分達を嘲笑う彼女の傲慢な態度に、ヒーロー達はギリギリと歯軋りしている。歯と顎が心配だ。
「ふっふ〜ん……どうやら本当に怖気付いちゃってるみたいですねぇ〜? ほらほらぁ、せっかくの獲物が目の前に居るのに、手柄を取りに行かなくていいんですかぁあ〜?」
くびれた腰に手を当てボブカットの黒髪を掻き上げ、男達を挑発するように安産型の巨尻をぶるんっと突き出し、ふりふりと左右に振る。そんな風花の仕草によって、張りのある豊満な乳房もぷるぷると弾んでおり、上空を飛ぶヘリのカメラもその果実の躍動につい引き寄せられていた。現在、視聴率爆増中。
細い腰つきによって引き立つ、大きな曲線。そのラインによって強調された超弩級の爆乳と巨尻は身動ぎする度にたわわに揺れ動いており、髪を掻き上げる仕草によって露わにされた腋の窪みからは、甘い女の匂いが滲み出ている。無防備に晒された腋から漂う芳醇な汗の香りが、風に運ばれヒーロー達の鼻腔を擽っていた。
(ふふん……見てる見てる。皆私に釘付けですねぇ。もっともっと私に注目してくれて良いんですよぉ〜? この私が活躍するところ、しっかりカメラに収めてくださいねぇ〜?)
そんな彼女の美貌と色香
何故彼女がこれほど反感を買ってまで、自己顕示欲を剥き出しにしているのか。その理由を知る者は数える程も居ないし、そもそも興味もないだろう。それはもちろん、敵の目の前で油断し切っている彼女を冷たく見下ろしている、紅金牛太郎も例外ではない。
「まっ、私はべっつにそれでも良いんですけどねぇ。ざぁこなヒーローさん達が日和ってる間に、私はサクッとコイツを仕留めてランキングを駆け上がっ――んごほぉおおおおおぉおおぉっ!?」
「……敵の眼前で何をしている?」
当たり前だった。ニヤニヤと挑発的な笑みを浮かべながら紅金の方に向き直った瞬間、風花はいきなり殴り飛ばされてしまったのである。剛腕のフルスイングから繰り出されたアッパーによって、風花の身体が榴弾のように打ち出されてしまった。美少女にあるまじき汚い絶叫が夜空に響き渡る。
「おぼほぉおおっ!?」
弧を描いて宙を舞う彼女の身体はビルの壁面に激突し、そのままズルズルと地上に滑り落ちて行く。かなりの衝撃だったのか、壁面には人形の窪みまで出来ていた。やがて彼女の身体は、地上にどしゃりと墜落してしまう。
「あっ……が、はへっ……!」
でんぐり返しのように桃尻を天に突き出した格好のまま、むっちりとした太腿を下品にがぱっと開いて悶絶している風花。白目を剥いて、犬のようにだらしなく舌を突き出し、涎まで垂らしているその姿は、誰の目にも明らかな「1発KO」であった。ビクビクと痙攣しているその醜態も、ばっちりヘリのカメラに収められている。
「……ッ! よぉし、邪魔な奴が勝手に吹っ飛ばされた! 皆、行くぞぉおおッ!」
「おっしゃあぁああッ!」
「手柄は俺のモンだぜぇえぇえッ!」
一方、ヒーロー達は風花の身を案じるどころか、嬉々とした様子で各々の必殺技を繰り出そうとしていた。両手に集束された彼らのエネルギーが、
風花が吹っ飛ばされたことで誤射(による自分達の人気低下)のリスクが解消された、という考えなのだろう。どこまでもランキングに拘る彼らの低俗な思考回路に、紅金は静かな憤怒を露わにしていた。
「……共に戦う仲間が殴り飛ばされたというのに、心配どころかヘラヘラしながら手柄の話か。つくづく……救えんッ!」
その怒りに身を任せるように、紅金は全身に力を込めて地を踏み締める。彼の装甲服の出力が限界まで高まった瞬間、その足元に亀裂が走っていた。BIGBULL-CHARIOTのスーツが、フルパワー状態に入ったのだ。
「
次の瞬間。装甲服を内側から押し上げるように、装甲内の人工筋肉が一気に膨張する。元々屈強だった紅金の身体がさらに筋骨逞しく、肥大化して行く。まさに鎧という名の巨峰そのものであった。
これが紅金の切り札なのだろう。不沈艦の如き防御力を発揮した彼の装甲は、全方位から飛んで来たヒーロー達の熱光線を完全に防ぎ切ってしまう。彼らがエネルギーを撃ち尽くした後も、紅金の装甲服には傷一つ付いていない。
「なッ……!? そ、そんなバカな……!」
「俺達の必殺技を……総攻撃を……!」
「……何が不思議なものか。お前達のような半端者の攻撃が、この鎧に通じるはずがなかろう。相手の力量も己の戦力もまともに把握しておらんとは……失望という言葉でも足りぬわッ!」
「うぐわぁあぁああッ!?」
「ぐぎゃあぁああッ!」
そこから先は、戦いですらない「蹂躙」であった。必殺技を撃ち尽くしてしまったヒーロー達に勝ち目などなく、彼らは片っ端から紅金の剛拳によって容赦なく叩き伏せられて行く。
その光景を目にして思わず逃げ出そうとした他のヒーロー達も、角を活かした突進攻撃によって次々と跳ね飛ばされていた。まさしく、暴走した
凄惨な轟音とヒーロー達の悲鳴が絶えず夜空の天を衝き、現場を中継していたヘリの乗員達を震え上がらせて行く。彼らのカメラが映している光景はまるで、闘牛の暴走に翻弄されるマタドール達のようであった。
「……ふん、ヒーローのガワを被っただけのチンピラ風情が。お前達のような連中の道楽に付き合わされたというだけで、虫唾が走る思いだぞ。最後の情けだ……苦痛を感じる暇もないように、一瞬で殺してやる」
やがて、辺りが静かになると。周囲を見渡した紅金は失望を露わにしながら、死屍累々と横たわるヒーロー達の1人に近付こうとしていた。テレビにもよく映るように、見せしめの「処刑」を行おうというのだ。
「ま、ち、なさいっ……! 勝負はまだ、終わってはいませんよっ……!」
「……!」
だが――そんな彼を呼び止めるように、大きな背中に声を掛ける者が居た。生まれたての子鹿のように両脚を震わせながらも、KOされたはずの風花が立ち上がって来たのだ。
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