最近の私は赤ちゃんをバカにしてしまう。

可哀想な赤ちゃんー…。

生まれたいとも、生まれたくないとも選択肢なんてなかったというのに。

何も考えてないような顔をして。

まだ見なれぬ世界にあんなに瞳を輝かせて。

――そんな瞳で、私を見ないで欲しい。

楽しいのは最初だけなのに。

「……バカじゃないの……」



耐えきれずLINEに視線をおろした。


『ばあちゃんが死んだ。』


既読がついたまま同じ画面を眺める。

これから先、たくさん笑って、たくさん愛を知るだろう。そして。愛したぶんだけ悲しさと別れの辛さと寂しさを知っていくんだ。

心がだんだん麻痺ってしまう。

きっと、私は曇った瞳をしてる。

あと何回? あと何人?

死体を見るのも、嫌だ。

葬式に出たいようで、出たくないという矛盾。

死体が焼かれるのも見たくない。

骨になった姿も、それを箸で掴むのも……。

身内が声を、唇を、手を、震わせてなく姿も……。

――嫌なんだ、見たくないんだ。

心が……麻痺っていくんだ。


この感情を、あの赤ちゃんは経験してない。していかなくちゃいけない。そう思うと。


可哀想いがい出てこないでしょう?







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