空も飛べるような
8月17日の始業式。僕は一ヶ月振りの悠人くんの夏の制服姿にドキッとした。彼の夏で焼けていて、僕にはない筋肉のついた彼は、やはり運動部なのだなあと思った。
二学期からの学校生活はどうなるのか。勉教が大変で苦しいだろうか。新しい友達ができて楽しいだろうか。どっちもあれば嬉しいな。
それに、一学期とは違うことがあって、悠人くんと僕は晴れてお付き合いをすることになった。一週間もまだ経っていないけど、前よりも僕と悠人くんのトーク画面は活発に吹き出しが出てくるようになった。
おはようとか、おやすみみたいに挨拶が突如行われていたり、変化が起こっていくのは今回は楽しかった。
さらに悠人くんは、僕ら3人とも仲が良くなった。護とは音楽の趣味が合った?らしく、今週の土曜日は一緒に他校の吹奏楽部の定期演奏会に行くらしい。渡とはノリは合っていて、渡も話しやすそうで楽しそうだ。
僕とはどうかというと、来週の月曜日、8月21日は僕の誕生日で、部活の終わった後一緒に帰るつもりだ。寄り道で悠人くんが美味しいって言ってるソフトクリームを買って帰るつもりだ。
これが青春なんだなと思えてきて、悠人くんの方をチラッとみてみると目が合った。悠人くんはニコッと笑って僕の方へ歩いてきて頭をポンッと撫でた。顔が焼けそうなくらい熱くなった。夏の暑さも相まっているのか、わけがわからない。
「えー!なんかお二人さん仲良くなってない!?」
「なんだよ
一学期の遠足から少し話すことが増えた西村くんが僕らの行動を見て走ってきた。
「今の頭ポンって何ぃ!?仲良くない!?えぇ!なんかうざくなぁい!?」
西村くんは顔や首を
「西村くん、どうしたの?」
「放っといていいぞ伊月。こいつ夏休み中に彼女に振られてから、付き合ってた頃彼女にしたこと、またはされたことが地雷なんだよ。幸哉、やってやってたんだな」
「うるせぇ!!くっそ〜!なんだよ!野球ばっかでウンザリするって!野球してるとこカッコいいよて言ってたの嘘だったのかよ!!」
「あー……」
僕の机に顔を突っ伏して落ち込む西村くんの話が可哀想でなんとも言えなかった。
すると悠人くんが西村くんの肩にポンと手を置き、西村くんは顔を上げた。
「彼女に振られるくらい野球に真剣な幸哉は、かっこいいよ。元気出せ」
え〜〜〜、かっこよすぎる。そこ顔近くないか?てか、なんか関係ない僕までその言葉で元気出てきた。部活頑張ろ!
「お、お前……!なんか腹立つ」
「なんだよ!」
野球部二人の尊い……、いや仲のいい会話を聞いていた近くの陽キャ女子の藤原さんが寄ってきた。
「いや〜、でもわかるよ西村。嫉妬しちゃうよね?カトリンがマモルン以外と仲良いとさ」
「は?なんだ藤原ぁカトリン?マモルン?」
「カトリンは香取伊月だからカトリンで、マモルンは日々木護のことでしょうよ」
「は、初めて呼ばれた」
ギャルだなって認識で、接点なんてないと思っていた藤原さんにフルネームを覚えられていたことにとても驚いた。
「カトリンって基本、マモルンと、あとA組のワタルン……、星野渡ね?と桃園の誓いでもしてんのかみたいに堅い仲だったからぁ、それと打ち解けてる悠人っちが羨ましいのはよくわかるよ」
「はあ!?そんなんじゃねえよ!」
「幸哉、そうだったのか。すまないな、伊月は俺のなんだわ」
「なんなのお前まで!?きっしょ!」
「それはそうと
「うーんそうだなぁ、ウチ的には〜お二人はぁ、水魚の交わりって感じかなぁ」
「いいな。それ」
藤原さんはギャルではあると思うけど、すごいな。頭いい……、芽蒙高校ってそういうとこか。でも、仲良くなりたいな。
「ぼ、僕も!みんなとも仲良くなりたいよ?」
「伊月〜!俺とも仲良くなろうぜー!野球とか一緒にやろうぜー!」
「カトリン可愛んですけど〜!西村とかいうむっさいのと遊ばないでさ、私とも仲良くなろうねぇ!
「お前それは俺から奪おうとしてるだろ!せめて、、
「え〜、それじゃあウチと悠人は不仲なんですけど〜」
ああだめだ。話の意味がわからなくなってきた。
まあでも、楽しそうではあるから、きっと二学期は充実だ。
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