第47話 東京といえば夢の国?

 さて、せっかく東京に来たのだ。俺たちは少し時間が遅いものの、隣の県にある夢の国へ向かうことにした。


 俺は夢の国に行くのは高校の頃の修学旅行以来だから、4~5年ぶりになる。道程はもう忘れてしまった。


 というわけでネットで調べながら夢の国に向かう。


「付き合い始めてすぐ旅行とか、ちょっと気が早くない?」


「まぁま、そういわずにさ。ダンジョンに行くのがメインの目的だし?」


 俺も付き合い初めて二人きりで旅行をするにだいぶ早いと思うが、今回は二人きりじゃなくて、姉貴もサーミャもいる。


 そして、今回の目標は旅行ではなく、レベル上げのために日本最高難易度とされる東京ダンジョンに挑むこと。


「一緒に強くならないとね」


「うん。みいなちゃんのこと、守れるようにならなきゃね」


 どうやら春奈ちゃんも俺のことを守ってくれるそうな。さすが春奈ちゃん。かっこいいや。


「えへへ……うれしいな」


「そう思ってもらえたなら私もうれしいよ。そういえば、天王洲アイル通りすぎたけど、降りなくてよかったの?」


「あっ」


◇◇◇


 いろいろやらかしたものの、なんとか夢の国に到着した。ずいぶんと時間をかけてしまったが、まだ日は暮れていない。夢の国を楽しむことはできるだろう。


 ちょっと前に予約していたチケットを読み込んで夢の国に入る。それにしても人の多いこと多いこと。


「あの! 九重 春奈さんと長麦 みいなさんですよね! 一緒に写真撮ってくれませんか!?」


 夢の国に入ってすぐ、ネズミの耳を付けた若い女の子に声をかけられた。どうやらファンらしい。


「もちろん! 春奈ちゃんもいいよね?」


「……うん! 大丈夫!」


 ? なんだ今の間。まぁ大丈夫ならいいんだけど。表情作ってポーズは女の子に合わせる。よし、いい感じ!


「ありがとうございました!」


「うん、これからも応援よろしくね~」


 女の子はそうして待っていた彼氏であろう人と一緒に夢の国を楽しみに戻っていった。


 そしてその後、少し進む度に声をかけられるというすごくすごーく承認欲求が満たされる経験をした後、俺たちは夢の国を脱走した。


「つ、疲れたね」


「う、うん」


 全然アトラクションは回れないし、たくさんの人と写真をとったから疲れてしまった。


 でもどうやら春奈ちゃんはそこまで疲れていないようだった。少し話を聞いてみると、どうやら前にも何度かこのようなことがあって、慣れているそう。


 なるほど、俺が慣れていないだけというわけだ。


「いやー……ごめんね。考えが足りてなかった。全然遊べなかった」


「大丈夫だよ。さ、そろそろホテル行こう? 心寧ちゃんが心配するよ?」


 そうだな。これでも俺は今女の子なわけだし。東京は人も多い。早めにホテルに向かうことにしようかな。


「了解。じゃあ一緒にホテル行こうか。浜松だっけ?」


「そうだよ~」


 地味に遠いホテル目指して、俺たちは帰るのだった。


◇◇◇


 神宮司 きららは今、兄を置いて東京の街に繰り出していた。それは…………。


『君たち、もしかして日本に攻め入ろうってわけ?』


『そうだと、言ったら?』


 現在きららは東京の裏路地でいかつい見た目をした男たちと対面していた。


『殺す』


『俺たち<銀の結晶>に勝てるとでも?』


 男が懐から銃を取り出したその時、男たちの頭は焼けただれ、男たちは絶命した。


「私の半身が残した責任。全部片づけてやる」


 3対の純白の翼を背に宿した彼女は東京に侵入した悪の組織を、自分の悩みが原因で生まれた半身が副官を務めていた組織の、掃討のために奔走を続ける。


◇◇◇


 あーあ。いつの間にか一緒に連れてきた部下がめっちゃやられてんじゃん。


 全員頭を焼かれて。犯人は目撃情報なく、不明だって?


 <天狼星>が使う方法とまったく同じ方法ってのが不安だが、<天狼星>はすでに俺たちへの最後の授業を終え、寿命で消えたはずだ。


 一体何者がこの俺<北極星>の部下を何人も殺してくれやがったんだ。


 そろそろ<寿命星>もこちらに到着するころだ。


 俺も出よう。このまま部下を失い続けるわけにもいかないからな。


 警察、引いては日本国軍に勘づかれる前に一気に作戦を進めなければ。あいつがでてくると厄介なことになる。

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