第33話 青森ダンジョン突入!

 一日休暇を取ったのち、俺たちは青森ダンジョンへと乗り込むこととなった。


 青森ダンジョンは迷宮型のダンジョンに当たり、この迷宮型のダンジョンは札幌ダンジョンのような洞窟型のダンジョンとは違い、遺跡のような感じで複雑に入り組んだ迷路になっている。かなりの階数があり、名取さんですら一日で最深部まで攻略していくのは厳しいらしい(やってやれないことはないっぽいけど)。


 今回問題の吸血鬼が現れたのは第54階層、だいたいSクラス以上じゃなければ攻略の厳しい場所らしく、そんな場所に俺と春奈ちゃんがいってもいいのかとは思ったが、知識はなくとも水準だけはSクラスに近いので、名取さんもいる状況も加味すればいけるそう。


 このダンジョンはパーティー全員が行ったことのある階層までテレポートできる仕組みがあるそうだが、今回は俺と春奈ちゃんが初見ということで1階層からの攻略となる。


 ちなみに配信もします。公式チャンネルで。カメラマンのレイセさんとドローンの多視点撮影らしい。


 というわけでダンジョンに突入していく。入り口から少し離れたところで配信が始まる。


 俺たちセントラルライトのメンバーの自己紹介の後、今回のゲストが紹介される。


「今回はゲストとして彼、神宮司 悠斗君が来てくれてるよ」


「どうも皆さんこんにちは。神宮司 悠斗です。今回はセントラルライトさんと探索させていただきます」


 神宮司さん、告知されていないサプライズ登場である。


:???

:告知なしで出てきたゲストがSクラスとかやばすぎ

:やっぱイケメンだな神宮司

:三島さんは一緒じゃないんだな


「さて、早速攻略に移るわよ。40層くらいまでかっとばしていくわ」


「ただモンスターを秒殺するのを繰り返すだけじゃ面白くないですからね。ある程度の敵がいるところまで急ぎましょう」


:40層ってAクラス以上がゴロゴロな場所なんだけどな一応

:メンバーがおかしいからなぁ

:ちょっとみいなちゃんが心配だけど名取がいるなら大丈夫だよな


 そういえば今思い出したけど、春奈ちゃんが一番配信歴とか長いんだよな。頼りになるぜ。


◇◇◇


 1日目の配信は40層の攻略と同時に終了し、今日は2日目になる。今日からは少しゆっくりめに、階層全域を探索するようにしていく。54層の周辺階層に入ってくるため、吸血鬼が潜伏している可能性が高いからだな。


 しかし昨日思ったが攻略が早い早い。全員遠距離攻撃手段持ちだから敵が見つかれば即攻撃で沈めて、ほぼ足を止めることなく40層までやってきた。


「ここからはローテして一人ずつ戦う方針にしようかしらね。昨日の配信も速攻敵が死ぬから爽快感あるって言われてたけど、やっぱり個人の活躍が見たい個人ファンもいるからね」


「40~60層クラスなら私でも1人で大丈夫ですし、賛成です」


 じゃあ俺も大丈夫そうかな……いやでも少し怪しいか……。


「お姉ちゃん、私少し怪しいと思う」


「確かに。じゃああなたと春奈ちゃんは2人で戦うことにしよう。その方が視聴者ウケいいし」


 視聴者ウケいいんだ。その辺あんまり考えたことなかったな。


「一緒に頑張りましょうね、春奈ちゃん」


「はい、頑張りましょうね」


 ダンジョンの中は明かりを持ち込んでいるとは言え少し暗いので勘違いかもしれないが、少し、春奈ちゃんの顔が赤いような気がした。大丈夫だろうか。


「じゃあ40層に転移して、配信を始めようか」


 40層に転移し、配信を始める。昨日と同じように挨拶をしたのち、名取さんと姉貴が今回からの探索の形式を説明してくれた。


 ちなみにトップバッターは俺たちだぜ。


 そういうことで先に進み始めると、ものの数分で初めての魔物と遭遇した。


 バカでかい牛だ。


 鑑定をかけたところあいつの名は【マッドカウ】らしい。土系統の魔法も使うが基本的には突進してくるBクラス上位の魔物。


 まだ40階層だからかAクラスには及ばなかったな。


「それじゃあまずは」


「私たちが戦いますよ」


 チームの中から俺たちが前にでる。さて、どうやって視聴者に魅せようか。


◇◇◇


 サポーター限定閑話、近況ノートのほうに本日アップさせていただきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る