第9話 【寧々視点】

沙矢乃と私が出会ったのは、高校2年生の時だった。学校の通学中に私が変な男に絡まれているところを助けてもらった事がきっかけだ。


『ねぇねぇ、そこのおねーさん、今ヒマ?俺らと遊ばね?』

『ごめんなさい、友達と待ち合わせしてて』


迂闊だった。変なやつらに絡まれるなんて

これが俗に言うナンパというやつかしら


『じゃあ、そのお友達も一緒でいいから

ね!』

『...................』


私はこういう時、どうしても足がすくむ。怖くて怖くてしかたないのだ。いつもは強気に振る舞っているが、実は男性恐怖症で、家族と執事以外の男性は特に無理なのである。げんに、今は女子校に通っており、いつも学校の登下校は車で送迎されるが、今日は歩きたい気分だったので歩いて登校していた所なのである。


『ほらほら、行こうよ』


そこで、腕を掴まれ、とうとう逃げられなくなった私は泣きそうになった。

.......誰か、助けて.............


『うわ、ナンパじゃん、リアルでそんなことするやついるんだ』


突如として現れたその人は、男と私の間に割って入ってきて、私の腕を掴んでいる男の腕を振り払った。


『おいおい、何すんだよ、テメェぶっとばすぞ』

『黙れカスが、こっちは急いでんだよ』


そう言うと、その人は男のみぞおちに蹴りを入れて、私の手をとって走りだした。


『チッ』


男達は、1人やられて怯んだのか追いかけてはこなかった。


私の手を引いて、走るその人は、まるで映画ワンシーンの中にでてくるヒーローみたいだった。


『大丈夫だった?』

『........うん、平気』

『それはよかった』

『あの...........ありがと』

『どういたしまして、それじゃ急いでるからまたね』


そう言い残してその人は行ってしまった。なぜかすごく胸がドキドキしたのをいまでも鮮明に思いだせる。




そして、気づいてしまった。

これは、恋だと


その日から、私はその人のことについてどこの高校に通っているのか、どこの大学に行くのか、などを執事に調べさせた。


そのかいあって、同じ大学に入れた。やっとあの人に会える。そう思っただけですごく嬉しかった。

でも、あの人は私のことを覚えていてくれなかった。


だから、私は決意した。あの人を必ず堕としてみせると。

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