天使の翼

勝利だギューちゃん

第1話

「さてと、こらからどうしよう?」


私は天使。

天使のドリム。


正確には、天使「だった」になる。

どうして過去形かというと、わかりやすく言うと、降格。


それも、天使会の馬鹿げたシステムに始まった。


数時間前・・・


「今年度の、天使営業成績ナンバー1は」

場内が静まり返る。


「エルフに決定!」

会場内から、拍手がおこる。

エルフにスポットライトが当たり、エルフは壇上へと上がる。


赤色の天使の輪をさずかる。

また、一段落昇格した。


「エルフおめでとう」

神の声に彼女は頭をさげる。

「ありがとうございます」

「より、精進するように」

「はい」


彼女・・・エルフは深々とお辞儀をする。


天使の世界は開級式である。

ランクにより、輪の色が変わる。


上から、黄色・紫色・赤色・青色・緑色・茶色・白色だ。

ちなみに神様となれば、金色となる。


年功序列ではなく、神様までいけば安泰だが、それまでは出生争いが続く。

しかも、毎年昇進できるのはわずかひとりずつと厳しい。


とても厳しい。

どうしてひとりしずつか昇進できないのか?


上にあげた輪を作るのに時間がかかるという、馬鹿げた理由。

おさがりはない。


天使は自分でやめると言わない限りは引退はない。

だが天使には、『死』という概念はない。


つまり、やめるときはその身が消滅するときなのだ。


しかし昇進もあれば、降格もある。

その降格も毎年ひとりずつ。


私はその、白色の一番格下だったのだが・・・


格下の白色の輪の下にも、当然ある、

透明・・・

解りやすく言えば、ガラス玉。


そのガラス玉の輪になれば、一年間下界での修業が命じられる。


ここまで言えばわかると思いますが・・・


「ドリム」

「はい。神様」

「今年度の降格は君だ」

「私が何をしたんですか?」

「何もしなかった。だから降格」


私の代わりに、白い輪に昇格した人は、微笑んでいる。

「油断していると落ちるよ」とは、言えない。

まあ、彼女もわかっているけどね。


そんなわけで、下界にやってきた。


えっ?わかりにくい?

Jリーグや大相撲の入れ替え戦みたいなものかな?


さてと・・・

まずは住む場所を探そうと・・・

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