偽善者が異世界を救う?~偽善の先には桜の花が咲き誇る~
アスラン
第1話 死んだ魂
俺の名前は冨樫
気付けば今は入社5年目となり仕事の量が限界な程に多くなっていった。
「あ~、疲れた。俺ばかりに仕事をふりやがって、もうやってられるかっ」
独り言でそんな言葉がでてくる程に毎日残業に追われ、精神共に疲れて帰宅する日々に突如事件は起きた。
それは仕事帰りの出来事である。俺の目の前には一人の女性が青信号になったのを確認しつつも歩きスマホをしながら横断歩道を渡っている。
どこにでもある見慣れた光景なのだが、一つだけ違っていたことがあった。
それは一台の車が赤信号なのにもの凄いスピードで彼女に向かって突進しているのだ。
それを見た俺は咄嗟に体が動いた。こんな時だけ咄嗟に体が動いた自分を褒めてあげたい。
しかし、数秒の出来事であるため俺は彼女を突き飛ばすので精一杯。
その結果、気付けば車は目の前に見え「キィィィーーーー、ドーン。」と言う音と共に俺は遭えなくこの世の人生が終わった。
「はぁ、こんなことなら最後に告白でもしておけば…、、、。」
………。
………、
人生が終わった筈なのだが自然と意識があることに気付いた。
意味が分からず体に触れようとしたが触れられない。しかし、自分の体に目を向ければ、半透明ではあるものの、生前の元気だった時と変わらない体があった。
そうこうしている内に視界の端に人影が映った。
周りを見渡せば、自分をいれて8人の男女を確認できた。
他の人に意識をしたからか声が聞こえてくる。
「ねぇ、私達って卒業旅行の最中にバスが事故ったよね?」
「う、うん。そうだと思うのだけど…あれ私達二人だけ?他のみんなは?」
「何処だろう?てか、知らない場所に知らない人達が…」
他の者達も「ここは何処だ?」「もしや、これは…」などの声が聞こえる最中、眩い光と共に神々しい一人の女性が現れた。
あまりの出来事に俺も他の者もビックリしているとその女性が話だした。
「まずは私の話を聞いてもらおう。その後に質問でも何でもするがよい」
神々しい女性は一人一人の目を見て確認した後再度話だした。
「まず初めに私はお主らの観点で言うと異世界神よ。そして、何故貴方達がここにいるのかは想像がついているんじゃないか?」
全員が思い当たることがあるのか、ハッとした顔をしている。もちろん俺も事故で死んだことを連想していると、女性の話は続いた。
「率直に言うとお主らは地球と言う星で亡くなった。そこで輪廻転生神の許可を得て貴方達に二つの選択肢を私が用意したので選ぶがよい。
・一つ目は通常通り輪廻転生をする。
もちろん輪廻転生をした結果何に産まれかわるか判らない。
・二つ目は童の星に異世界転生をすると言うもの。
「異世界神の星に人として産まれ変わる。もちろん特典あり」
さて、ここからは一度質問を受け付けるとしよう」
そう異世界神が言うと、すぐさまオタクっぽい男子が質問した。
「異世界ってことは魔法は使えますか?後、僕でもハーレムを作れますか?」
周りにいる女性達はジト目で見ているが彼は気にしていない様子だ。
「ハハハ、正直者だな。そうだな、まずは異世界のことを話そう」
そう言うと異世界神は話しだしたのだが内容が異世界神の視点で分かりずらかったので、皆で質問しながら確認した結果、話をまとめるとこうだ。
異世界の邪気を払うために日本の善ある魂(偽善も含む)を周期的に呼び集めていること。今までは多くても同時に異世界転生は二人が最大だったのだが、異世界のバランスが崩れそうなことから今までの経験を活かして8人の転生を試みるそうだ。ちなみに異世界転生には神の神気が必要らしいのでこれ以上の人数は難しいらしい。
もちろん8人という人数にも意味があるらしい。なんでも異世界には東西南北に大陸があり、その中心に中央大陸があるのだが、中央の大陸には邪の泉と言う魔物の巣窟の大陸になっているそうだ。このままでは世界の均衡が崩れ人々は滅ぶだろうと言われている。そのため中央大陸に行くにあたって、まずは東西南北に2人ずつ配置し力をつけてほしいそうだ。
もちろん魔法や魔物がいる世界で、質問にあったハーレムも男性限定、もしくは女性でも地位によっては出来るらしい。何故男性限定なのか?それは異世界の命の価値は安く、死亡率も高いことから出生率を上げる観点からも一夫多妻は望まれているらしい。
最後に異世界転生の得点として2つ固有スキルを選ばしてくれるそうだ。
こうして俺の異世界転生は期待とともに始まって行くのであった。
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