パラサイトな私の日常
いしもともり
第1話 再会
8:30〜17:15きっかり就業。終業と同時に席を立ち80分かけて、終点2つ前の田舎駅、家路につく。最寄り駅から徒歩5分。今日も19:01ピッタリに玄関を開ける。夕飯の支度中の母の「おかえり」の声。夕飯を食べて、入浴して、ネットか小説。仕事が休みの日は、ほぼひきこもり。ここ数年の私のルーティーンだ。昨日も今日も明日も、同じ毎日。
「なんか…ないかなぁ…」
翌朝。いつもの時刻にいつもの駅。無人駅から乗る乗客は、私を含めていつも3人…じゃない。今日は4人いる。松葉杖の男子高校生だ。3つ先の駅近くに、私も通った地元の高校がある。
電車がきた。「危ないっ」バランスを崩した男子高生を咄嗟に支えた。「すみません…」と恥ずかしそうに礼を言うと、まだガラ空きの車内にゆったりと座った。『あ、いつもの指定席…。』まんまと定位置を占拠された私は仕方なく、別の席に座った。席に着くとイヤホンと小説。お決まりの80分の通勤タイムの始まりだ。小説に集中する私を、チラチラと見る彼にも気付かずに——。
17:35いつもの電車に乗る。
視線を感じ、3つ前の「山並高等学校前」駅で顔を上げる。
「今朝は…ありがとうございました。」
松葉杖の彼が、遠慮がちに挨拶をする。私は慌ててイヤホンを外し
「いえいえ…。」
「あの…間違ってたらアレなんですけど…、ユウ…さん?」
確かに私の名は「悠」だ。なぜ、歳の離れた高校生が、私の名を?
「はぁ…」と腑抜けた返事をした。
「やっぱり!」そう言って私の隣に座った彼は、嬉しそうに話し始めた。
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