「問」コミュ障陰キャでも人気者になれますか？「答」モデル幼馴染が必要です。

プロローグ

　ボサッと伸びた長い黒髪は目元を深く覆っている。奥から覗く分厚いメガネは男の視力がとても悪いことを知らせる。

　光の無い目には、希望などは欠片も詰まっていない。オドオドした前傾姿勢は折角の長身を本来よりも小さく見せる。

　ここまで酷評しといてなんだが、男の顔は悪くない、むしろ整っていた。だが、男は何も努力をしない。自分を良く魅せようともしない。だから誰しもが彼をブサイクだと言うのだ。

　自分で自分に下した評価は…回り回って他人からの評価に直結するのだ。

　誰とも目を合わせず毎日同じ事を繰り返す。そんな男には夢などもないのだろう。

　しかし、癪なことに男は誰もが羨む物を持っていた。

　何か？

　…

　…

　「現役モデルの幼馴染だよっ！！！！」

　許せん！

　こんな与えられた物を活かすこともせず、怠惰に暮らしてきた奴が………

　あんなにいい思いをするだなんて！！！

　あっ、申し遅れました。神様です。あっ、敬語とか良いっすよ。今は貴方と同じ一人のアイツのアンチなんでね…

　どうしてこんな羨まケシカラン未来になったのか…

　それを一緒にこの神様テレビで見てきましょうか。

　あっ、飲み物は冷蔵庫なんで好きに飲んじゃって下さいよ。