学園1絶対的アイドルの幼馴染みが、アイドルオタクの俺の部屋で突然寝てたんだけど。今、告られた気がするのは気のせいですか。
空豆 空(そらまめくう)
第1話 俺の学園にはアイドル並みに一番人気の女子がいる。
――俺の通うここ、
なぜ一番人気だと言い切れるかと言うと……
「みなさんこんにちは!! 学園祭、楽しんでますかー!? 今日はたくさん集まってくれてありがとう!! 私たちのパフォーマンス、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいねっ!!」
杏花は、現在世間で絶大な人気を誇る国民的アイドルグループ 「
さらに、歌唱力、ダンス、MC力も群を抜いていて、見るものを惹きつけてやまない圧倒的パフォーマンス力を誇っている。
『遠くのアイドルより、近くのアイドル』そう言わんばかりに、この学園では本家の紫苑より人気があると言っても過言ではない。それくらい男子からはもちろん、女子からも大人気なのだ。
今日の学園祭の大トリももちろんYOU☆Do know。そして――
「ちょっと、
「はいはい、わかってるって……」
そんな杏花の写真を脚立に乗って撮ろうとしているのが、杏花の親友でもある
とは言っても、その収益は写真部と各部活に配当され、撮影される側の許可もちゃんと取ってあるのだが。
そんな写真の中でも杏花の写真は、学園内の誰よりもダントツに売れている。まさにそれが、杏花が学園一の人気者という動かぬ証拠なのだ。
そして今、脚立を支えるという地味な雑用をしている俺は、写真部でも新聞部でもなく、細々と活動をしている地味な将棋部部長、
(やっぱり杏花、可愛いよなあ……)
実は杏花と俺は幼馴染みなのだが……今となっては杏花は高嶺の花。すっかり疎遠になってしまい、いつも高見に頼まれる雑用の傍ら、こっそりと杏花のパフォーマンスに見入るだけのただのモブと化している。
「きゃー!! 杏花ちゃん可愛いー!!」
「きょ・う・か! きょ・う・か!」
パフォーマンスもいよいよクライマックス。黄色い声援が飛び交う中。
――バチッ!!
俺と杏花の目が完全に合った気がした。その瞬間。
杏花は曲に合わせて、
「きゃ――――――!!!!!!」
一気に最高潮に達する歓声。けれど。
(……今、杏花が指差ししてウインクした相手って……俺!?)
バクバクと心臓が高鳴り出して俺は気が気じゃない。
俺は子供の頃からずっと杏花のことが好きなのだ。
しかしすぐに冷静さを取り戻すのはいつものこと。
「よし、杏花ナイス!! 今ばっちり良い写真撮れたわよぉおお!!」
今日もカメラを構えながら高見はしたり顔をしている。
(ああ、そうだった。杏花のウインクは、俺にじゃなくカメラに向かってしているもの)
杏花と目が合ってドキッとするのも、その後カメラに向かってだと気付いてがっかりするのも、もはや毎度のこととなっている。
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