二十三年 五月 栗の花
栗の花は夏の季語です。見たことありますか? 筆者は写真と口コミだけなのですが、その独特な匂いは、いろいろな虫から好かれます。しかし人間からは評判が悪く、昼でも夜でもむわむわと異臭を放つので「栗咲く香この青空に隙間欲し 鷲谷七菜子」と俳句に詠まれるほどの悪臭です。栗御飯の美味しさを棚に上げて何という身勝手な奴らでしょうか、人間とは。もっさりと穂状に咲いた花は夏の季節風に揺れて、一日中、虫たちにアプローチし続ける賢い花です。
ぼうぼうの
ぼうぼうの栗の花は山姥の髪のようだ……という句です。栗の花は夜見ると不気味で妖しげで、風に揺れる木が妖怪のようです。恐いなあ。作者は充分に手応えを感じているのですが、山姥に興味のない方には奥行きのない句なのかなあ。
☆ 夜の闇にマーキングする栗の花
「ココニイルヨ」と闇の中で呟く声が聞こえます。油蝉の騒ぐ熱帯夜の夜です。「ココニオイデ」ぬめるような声に誘われて部屋着のままサンダルをつっかけて外へ出ます。今夜は新月。マンションの隣の公園から呼ばれているようです。「ココダ、ココダ」公園の木立の隅には異様な木が生えていました。「こんな木、あったっけ」ぼうぼうと熱のない炎をあげて燃えているような木でした。熱のない代わりに異臭がすごい。それなのに羽の有る虫がわんわんとたかっております。「イイニオイ」「イイニオイ」「オイ、ドケ」わたしはカナブンに睨まれて木から離れました。そして、仲間はずれにされた気分で家に帰りました。この句は佳作でした。
風吹けば大笑いする栗の花
これも花期にはバケモノめく栗の花の姿を詠みました。三内丸山の縄文時代の住居跡には栗の木を植えて栗の林を育てていた形跡が残っていると聞きますが、さぞ臭い思いをしたのでしょうね。でも縄文人は賢いから、村の風下にうえたのかな。
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