第9話 チュートリアル特典②

「さてと」


まわりに人がいないことを確認して、博人はおもむろに特典の書かれた紙を光にかざした。


――やはり、透かしが入っていたか。


岡部さんの持っていた紙は後ろのライトが透けるほど薄かった。

あの時は、ただ薄い紙の可能性もあったため、言及はしなかったがよく見れば、誰でも見抜けるレベルだった。


しかし、このスキルはこれだけでは獲得できないはずだ。

博人は後ろのポケットを探り、隠してあった消しゴム付き鉛筆を取り出した。

そして、部屋から持ってきた鉛筆を使って、透かしをなぞってみた。


『チュートリアル特典

・ランダムステータス中上昇

・LUK-1

・スキルD【観察眼(小)】  』


「これで、1つ目はおしまいっと」

そうつぶやくと、鉛筆をひっくり返し、消しゴムに持ち替え、文字を消していく。


『チュートリアル特典

・ランダムステータス中上昇

・スキルD【観察眼(小)】  』


「これでよし」

博人はさらさらと紙に何か書き込むと、顔を上げ、自室に戻った。




自室に戻ると、博人は机の上にある紙にもう一度目をやった。


『部屋に入ったら必ず読もう☆上』

―――必ず読もう☆上 ね。


星の上だけ読んでみると『ぜん部うそ』。

要は、紙に書かれていたことは全部嘘ってことになる。

だから鉛筆は持ち出していいし、使っていい。

むしろ持ち出して使わないといけないってことになる。



正直今回は運がよかった。

岡部さんに会っていなかったらこの成果を上げるのは難しかっただろう。


LUK+3…これがどんな価値をもつのかは分からないが、今日はこのステータスに助けてもらった気がする。


改めて松本さんに感謝をして、博人は固いベッドで眠りについた。


佐伯博人(さえきひろと)

STR:不明 VIT:不明

INT:不明 DEX:不明 

AGI:不明 LUK:不明+3-1

HP :不明

【冷静】【視力小上昇】




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