第15話 えっと、野宿?

「もう、本当に心配したんですからね?」


「すいませんでした」


お姉さんの剣幕に私は謝ることしかできない。なぜ怒られているのか説明するため、少し話を遡る。


私が採掘場に行った後、私の担当が例のお姉さんになったらしく、私の帰りを待っていたんだとか。しかし昼を過ぎて、暗くなっても帰ってこなくて、他の冒険者に聞いたところ、朝に軽装で目立つ武器も持たず、1人で採掘場に行った女の子がいるだとか。


普通、採掘クエストなんて2時間足らずで終わるのに帰ってこないってことは……って感じですっごい心配されていたみたい。それで今、命を大切にしろって怒られている。いや、まあ、うん。ほんとその通りだと思う。


それから30分くらいしっかり怒られてからようやく解放された。


「次から気をつける様に。あと、時間が出来次第、一緒に武器と防具買いに行きますよ。」


え? いや別に一緒に行かなくても……


「行きますよ?」


「はい! 行きます!」


そんな目で圧をかけられたらそう答えるしかないじゃん。まあいいや、受付嬢ならいいお店知ってるかもだし。


もう怒られて疲れたから家に帰って寝よ……あれ? 私、家なくね? 宿ってどこにあるんだろう?


「すいません、宿ってどこにあります?」


怒られた相手に聞くのは気まずいけど、仕方ない。


「宿? あるけど高いですよ?」


「ちなみにどれくらいです?」


「えっと大体……」


まじか。私のポケットマネーかき集めても1日しか泊まれないじゃん。わたし、明日から野宿?

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