第13話 ピキピキ

とある採石場にて。


「お父さん、これは?」


「それは石だな」


「じゃこれは?」


「それも石だな」


「じゃ、じゃあこれは?」


「石だな。ちなみに後ろにあるの全て石だぞ?」


な、なんですとおぉぉぉ! あれもそれもこれもどれも石?


「リター、これが金属鉱石でこれが石。分かるか?」


なるほど、わからん。見かねたお父さんがアドバイスをくれようとしてくれているのは分かるけど、正直どっちも黒い塊。それ以上でもそれ以下でもない。


「始めたては石しか出ないから気にするな。まあ、父さんみたいにずっとやっているとそのうちいっぱい出てくれるようになるよ」


ならねえよ。何で岩側に情が芽生えてんだよ。こっちが情を感じることはあるけども。てかずっとってどれくらい?


「ずっとって、どれくらい?」


「どれくらいと言われてもなぁ。父さんは気づいたら見分けがついていたからな」


天才なんですか。そうですか。


「でも、めげちゃダメだぞ。きっと見える様になるから」


そうは言われてもねぇ。えい!


近くにあった岩を削り、黒い塊を得る。


「金属鉱石!」


「残念、石だな」


えいっ! もう一つ取る。今度こそ。


「金属!」


「それも石だな」


はいはいそうですか。確率的に石なんですか。


「石!」


「残念、それが金属鉱石だね」


やってられっか!


腹を立てた私に思いっきりぶん投げられたそいつは壁に当たると粉々に砕け散った。


ええっと……お父さん、そんな顔しないで。

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