第3話 お店
ある時暇すぎて店の手伝いをしていた時のこと。その頃には、私も馬鹿じゃないから疲れる前にファームをやめれるようになり、自分の石を持って帰ることが出来るようになっていた。そして自分用の箱に貯めるのが習慣になっていた。そして溢れたら父がお小遣いとして買い取ってくれたりした。
でも、一つ困ったことがあるとすれば全て同じ石にしか見えないということ。父曰く三種類ほど混ざっているらしいけど全く違いがわからない。慣れればわかるようになるらしいけど、できる気がしない。
私がお店のお手伝いをしていると、いつものおじさんがやってきた。ちょうど父が荷物の整理をしていてここに居ない。
「お父さんは?」
おじさんが聞いてくる。私は隣に置いてあった袋を握って、
「今裏にいます。おじさんに渡しておいてってお父さんに言われたやつです。」
そう言って手渡す。
「おぉ、確かに。ありがとう。もう一人前の店員さんだな。」
褒められた。え、嬉しい。
「ありがとうございます。あっ、ちょっと待ってて、じゃなくて待っててください。」
そう慌てて自分の石を入れている箱から適当に石を持ってくる。もちろんなんの石かはわからないけど。そんな高価なものここにあるわけないしね。
そんなわけでずっとやりたかった事をやらせてもらいます。
少々息を切らしたまま、おじさんの目の前に石を差し出す。
「これは?」
「えっと、石です!」
そう、お店屋さんに憧れて意味わかんないものを売ろうとする子供をやってみたかったのだ。
「石かぁ。何の石かな?」
「わかんない」
「分かんないかぁ」
おぉ、困惑してる。いいぞいいぞ、もっと困惑しろー。
「いてっ」
なんて思っていると頭に軽い衝撃が走った。
「変なもの売らない」
正体は父だった。軽く頭をチョップしたらしい。
「うわー頭が割れたー」
変なこと言っているうちに石は片付けられ、父とおじさんは世間話を始めてしまった。
むー。今日は父と話聞いてやらないもん。
あっそうだ。さっき持っていた石はなんの石だったんだろう? 気になる。
「お父さーんっ!」
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