一般市民はかく語りき

鯖之丸焼

曇天

昔から習慣づけて行動することが苦手だった。

勉強だってテスト前に数時間しかしないし、

部屋の掃除だってたまにしかやらないし、

風呂だって、毎日は入るけど決まった時間にとはいかない。

あるとき改めて自分を振り返ってみると、自分の今までの生活というのに嫌気がさしてしまった。

なので、これを機に日記を書いてみようと思う。

習慣づけることの練習にはもってこいだと思ったからだ。

続くかどうかはわからないし、日記の形をとるかどうかもわからないが、それでもやらないよりかは幾分かましなはずだ。

僕は、何もしないよりかは、何かする方を選んでしまう人間だから。


一応言っておくが、僕は他の人よりも文才があるだとか、語彙力が高いとか、そういうわけでは一切ない。

なので、こんな不器用な人間の書く稚拙な文章読む方も少数派かもしれないが、それでも読んでくれる方がいるというのなら感想や意見は大いに歓迎する。


こういう時、どう書き出せばいいか悩むのは、やはり日記初心者特有のものなのだろうか。

いつも思うことだが、どんな文を書く時も最初の一文を書くのが最も難しい。

故に様式美的に、天気の話でもしようと思う。

今日は日記を書き始めるのにふさわしい晴れ晴れとした天気、といいたいところだが、

生憎空の青さは灰色の雲にかき消され、太陽の光がいつもと比べて頼りなく見えた。

端的に言うと、今日の空模様は、まったくの曇天だった。

外に出てみると、町中のカーブミラーに映るのはどこか暗ささえ感じる空気と、ばかげた自分の面だけで、それを見ているのが嫌になった僕は、バス停に行くまでの歩みを速くした。

バス停につくまでの後5分がやけに長かったのを覚えている。

何故こんな日に日記を書き始めようと思ったのか、特に深い理由もない。

今やらなければ、いつまでもやらないような気がしたのだ。

「やらぬ後悔より、やる後悔。」だなんて、あまりに陳腐な表現だろうか。

バスが来ると、雨が降ることを心配していたのだろうか、折り畳み傘を持っている人が何人か見受けられた。

人もいつもより多い気がしたが、やはり賑やかさというのはなく、バスの中にもどこか暗い雰囲気が漂っていた。

ところで僕は優先座席には座る派だ。

もちろん優先すべき人達がバスに乗ったならば座席を譲ることは当たり前だ。

だがそのような人たちが乗っておらず、なおかつ席が余っているとなれば座らないほうがおかしいというものである。

結局優先座席に座らない理由なんて、「譲るために話しかけるのが恥ずかしい(怖い)から」とか、「座ったのに立つのはなんかめんどくさいから」とか、その程度の理由しかないのだ。

それなら僕は座るほうを選ぶ。

「やらぬ後悔よりやる後悔」だから。(普段はやらないことの方が多いんじゃ?とか言わないでほしい())

そもそも座席というのは座るために設置されているのであって、そこには「誰かがこの座席に座って、せめてもの休息を楽しんでほしい」という誰かの思いがあるはずだ。

それが設計者の思いなのか、それとも実際にバスを組み立てた人の思いなのか、両方なのか、全く別の人の思いなのかはわからない。

だが、たとえ誰の善意であろうとかまわない。

そこには確かに、誰かの人を思いやる気持ちがあるはずなのだから。

そう考えると、その思いを無碍にするのは気が引けると僕が思っていしまうのもまた、僕が優先座席を座ることの一つの理由になるのだ。

それともこれは、僕が自分の欲を満たすための後付けされた理由だろうか?

…それでも、こういう小さな善意に気づくことが、僕の今日の空のように曇った気分も幾分か晴らしてくれるだろうということは変わらない。


このあたりで今日の日記は閉めようと思う。

次回あたりからはもう少し内容が薄くなったり、文字数が少なくなることもあるだろうが、これからも温かい目で見守ってくれるとありがたい。


それでは次の日記でまた会おう。

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