第49話武藤慶子
武藤慶子は両親の愛情を
たくさん受けて育ってきた。
一人っ子の箱入り娘で
大事に大事に育てられた。
素直で可愛いくて、
お人形さんのようだね。
久しぶりに会う親戚は
目を細めて
『こんなに綺麗だと将来は
女優さんになるのかな?』
そう言って褒め称えていた。
彼女に転機が訪れたのは
彼女が中学2年生になった
春だった。
地元の公立中学校に
進学していた彼女は
クラスでトップクラスの
成績だったので
塾には通わずに
独学で勉強して
学業と部活の両立を
させてきたが
高校の進学を見据えて
進学塾に通う話が
彼女の周辺に
持ち上がっていた。
部活の練習は遅くまであり
終わってから塾では時間的に
通うのは難しかった。
部活を辞めないまでも
制限するのは、どうだ?
そんな提案も出たが
中学2年になってレギュラーも
見えてきている。
部活の時間は
割きたくない彼女と
少しでも偏差値の高い
高校に入れたい
両親の思いは平行線だった。
家庭教師
教える側が時間を
合わせてくれれば
今まで通りに部活が出来る。
両親が提案した、この案に
慶子は2つ返事で、
家庭教師の話を受け入れた。
中学2年の4月から月曜日、
金曜日に家庭教師に勉強を
教えて事となったのだ。
来てくれたのは
帝国大学2年生の
真壁刀、19才
男性だった。
異性に興味を
持っていなかった慶子は
同性の教師を
特別指定しなかった。
1個上の中学の先輩を
年上と感じていた
彼女にとって5才上の
真壁は大人だった。
それはおじさんとしではなく、
年上のお兄さんとしてで
一人っ子だった彼女は
お兄ちゃんが出来た感覚で
嬉しかった。
年頃の慶子が
真壁に対する思いが
お兄ちゃんへの憧れから
恋愛に変わっていくのは
早かった。
家庭教師の時間に
トロンとした瞳で
真壁を見つめる慶子は
恋する少女そのものだった。
真壁も、その視線には
気づいている。
家庭教師が始まって
3ケ月過ぎた頃だった。
『慶子ちゃんは
1人エッチするの?』
真壁が突然、
慶子に聞いてきたのである。
『え?え?』
『ひ、ひ、ひとり?』
優しい先生から、
想像も出来ない
ハレンチな言葉が出てきた。
『え?今なんて
言ったんですか?』
何かの間違いだと思って
慶子が、再確認すると
『慶子ちゃんは
1人エッチするの?』と
真壁は同じ質問を言ってくる。
慶子も当選、
その意味は分かっている。
だが自分には関係ない
別の世界の事だと
思っていた。
『え?
する訳ないじゃないですか』
大好きな先生からの
質問じゃなかったら
引っ叩いている
そんな質問に
照れながら答えると
真壁は真面目な顔をして
『してないんだ?』と
さも、しているのが
当たり前のように
不思議そうな顔で答えてきた。
え?
何を言っているの?
『してる人なんている訳
ないじゃないですか?』
キスすらいまだに
想像出来ない慶子は
真壁にそう言うと
『クラスの女子の半分は
していると思うよ?』と
真顔で彼が言ってくる。
あり得ない
そう思った彼女は
『誰も、そんな話なんて
してません』と
キッパリと否定してきた。
すると真壁は笑いながら
『誰も本当の事は
言わないよ』と言って
説明を始めたのである。
トイレに行ってウンチをする。
そんな当たり前の事を
誰も申告しない。
ましてや1人エッチなら
していても誰も
言わないだろう。
中間テストの時に
全然勉強していないと
言っているが
他人に隠して
徹夜をしているのと同じで
正直な事は
カッコが悪いから言わない。
ましてや、
ちょっとエッチな事
自分からは絶対に言わないし
他人に聞かれても
本当の事は秘密だ。
『慶子ちゃんは
していないの?』
いつもの優しい感じからは
想像が出来ない
真壁の質問に
たじろぎながら
『そんな事はしません』と
慶子が答えたので
『仕方がわからないんじゃ
ないの?』と真壁が聞くと
『知らないですし』
『興味もありません』と
慶子が謝絶する。
『本当は慶子ちゃんの年の子が
今から毎日するのが
一番良いんだよ』
『女性ホルモンが
1番多く分泌されるから
スタイルも良くなるし
美容にも良い』
気になる事を真壁が
言ってきたが
『でも、私はしません』と
慶子は断固拒否の姿勢を
崩さない。
真壁は笑いながら
『大丈夫、
慶子ちゃんにしろって
言っている訳じゃないから
安心して』
『部活も勉強も
頑張っていると脳みそが
活発になって』
『夜に寝なくちゃいけないのに
すぐに寝られない時があるから』
『その時に寝る前に少しすると
スッキリして
熟睡出来るんだって』
興味が無いと言っているのに
真壁の解説は続いていた。
『いくら丁寧に説明されても
私には興味がありません』
本当は気になる話を
振り払うように
慶子が絶叫したので
『了解、
この話はもう、やめよう』
そう言っておきながら
『1人エッチに使える
便利グッズがドラックストアに
売っているから』
『今度、買ってきてあげるよ』と
真壁が話す。
『そんなの、いりません』
慶子が拒否して
話は終わった。
その夜、ベッドの中で慶子は
真壁の話を思い出していた。
先生は、ふざけていたんだろ。
でも、ドラックストアで
買うものって何かな?
慶子は考えた後に、
想像した自分に
自己嫌悪をして違う事を
考えて寝ることにした。
次回の家庭教師の時に
真壁は本当に
ドラックストアで
ある物を買ってきた。
これが?
慶子は意外だった。
これなら自分の部屋に
置いていても
特別不思議じゃない。
『使い方はね』
そう真壁が言い出した時に
『聞きません』
慶子は拒否するようにしたが
真壁は関係なく
一部始終を説明した。
それ以降は、その話はせずに
勉強が続き、
その日は終わった。
その日の夜、
電気を消したベッドの中で
慶子は真壁が
置いていったモノで
頭がいっぱいだった。
あんなモノで?
色々と想像をしていると
本当に寝られなく
なってしまった。
真壁が置いていったモノは
彼女の机の
引き出しに入ったままだ。
私には関係ない
そう自分に言い聞かせて、
その日は寝た。
次の日の夜
また寝る前になって
真壁が置いていった
モノが気になって仕方ない。
真壁が言っていた
使い方が頭の中で
リフレインしている。
少しだけ使ってみる?
いやダメだ
彼女は布団をかぶって
寝ることにした。
次の日は学校にいる時から
その事で頭が
いっぱいになっている。
クラスの子の半分?
そんな訳ない
でも、あの子は
しているかも?
あの子は?
そんな想像している
自分がイヤになる。
そして学校が終わって家に帰り
夜を迎えた。
先生がドラックストアで
買ってきたモノが
気になって仕方ない。
人間は不思議なモノで
知らなかったら
それまで普通に暮らせていても
一度気になると、
それが頭から
離れなくなってしまう。
ちょっとだけ見てみよう。
別に使わなければ
そう自分に
言い聞かせているが
先生が言っていた
使い方を試している。
別に試して使う分には
問題ないだろう。
してみると
不思議な感覚だった。
オシッコを我慢していて、
やっとトイレで
開放した時の
気持ち良さが
ず-っと続き
それが段々と
大きくなっていく
ゆっくりと
波が大きくなって
神経がそこに集中した時に
電気が流れたようになった。
頭の中が
真っ白になった慶子は
電池が切れたように
眠りにつく。
翌朝、目覚めた彼女は
昨日の事を思い出して
恥ずかしくなり
何度も鏡を見て
何か変わった所がないか
確認をしてしまうが
変化は見つからない。
学校に行って休み時間に
友人と話している時も
昨夜の事がバレないか?
ドキドキしながら
喋っていたが
友人達は何も
言ってこなかった。
大丈夫だ。
その安心感を得たのと同時に
真壁が言っていた
クラスの女子で
している子が
多くいると言う話も
あながち
間違ってないかも?と
思い始めている。
家に帰った彼女は、
いつも通り
食事をして勉強をして
寝る準備を始めていた。
今日はしない
あれは昨日だけの事
そう言って
納得しようとする彼女と
誰にもバレなかった
もう一度だけ
そう言っている彼女が
戦っていたが
結果、今夜も
してしまったのである。
そして金曜日
家庭教師の日で
真壁が来る日だ。
絶対に先生に
『使ったか?』と聞かれる。
何て言えばいいのだろう。
そう考えてソワソワして
真壁が来るのを
待っていると
慶子の様子をチラッと
伺った真壁は
何も言わずに
英語の勉強を始めた。
結果、その日は
何事もなかったように
家庭教師が続き
いつもの優しい先生は
帰っていった。
何も聞かれなかった。
使ってないと
思っているのかな?
そう考えた彼女は安心して
それから毎日、寝る前には
必ずして寝る日が続く。
翌週の月曜日の時も、
次の金曜日の時も
真壁は忘れて
しまったかのように
その件には触れずに
講義をしていた。
そして月曜日の
家庭教師の時に
普段通りに彼女が
『先生、
この問題が終わったら
休憩にして下さいよ?』と
甘えた時に
『慶子ちゃん、
俺がこの前持ってきた
ドラックストアの物って
ある?』と
唐突に聞いてきたのであった。
彼女はもう聞かれないと
思っていた。
見て分かるくらいに
動揺している彼女に
『使わなかったら、
俺が使うから
返してくれる?』と
言ってきたのだ。
万引きが
見つかった人のように
震えている彼女は
何も言ってこない。
先週までは
先生に聞かれた時に
『使っていません』と
言い返せるように
頭の中で何度も
練習をしていたが
安心しきっていた今、
不意打ちを食らって
言葉が
全く出なかったのだ。
『無くしちゃったのかな?』
真壁が笑いながら、
そう言うと
明らかに震えた声で
『はい』と
彼女が小さな声で答える。
『そうか、
無くしちゃったなら
しょうがないね』
『今度は100円ショップで
別の物を
買ってきてあげるよ』
そう言って真壁は笑った。
『いりません』
慶子は、そう言おうと
思っていたが
声は出なかった。
その日の家庭教師が
終わった後
彼女は真壁が
持ってきたモノを
捨てようと思っていた。
本当に捨てちゃえば、
いいだけだ。
だが彼女は
捨てられなかった。
次の家庭教師の日に
真壁は本当に
100円ショップの袋を
持参している。
そして袋から出したモノは
学校の授業でも
使っていたアレだった。
これが?
拒否する姿勢を
忘れた彼女は
興味津々で
手に取って見ていると
『これはドラックストアで
買ってきたモノより
強力だよ』と笑いながら
説明を始めたのである。
こと細かに
真壁が説明をしてきて
彼女は顔が
真っ赤になっていくが
聞くのを
拒否していなかった。
真壁の話を聞いていた
慶子は思った。
絶対に今夜
してしまうだろうと。
説明をしていた真壁も
そう思っていた。
その日慶子はベッドの中で
布団をかぶり
100円ショップで
買ってきたモノを
試していた。
ビクン
ビクン
電気が流れたようになる
慶子だが
止めることはなく
溶けていく感覚に包まれて
初めて絶頂を経験したのだ。
一度、刺激を覚えてからは
快楽の沼に沈んでいき
夏休みに入った事もあり
毎日、何度もしていた。
夏休みの間も
家庭教師はあったが
真壁は
慶子に100円ショップで
買ってきたモノを
使ったか?を
確認する事はなかった。
夏休みが終わる頃の事
ちょうど100円ショップで
買ったモノを
渡して1ケ月が経った時に
『100円ショップで
買ったモノは
どうだった?』と
真壁が聞いてきたのだ。
始めの頃は、
その手の話をすると
拒否反応を
示していた慶子だが
『昨日も使いました』と
正直に白状をしたのである。
それを聞いた
真壁の口角が上がった。
『どうだった?』
真壁に
そう聞かれた彼女は
『溶けそうになりました』
何の迷いもなく赤裸々に
説明をする慶子は
真壁からの
次のプレゼントを
待っていたのであった。
教えられた快楽は
毎回、慶子を
夢中にしていき
それ無しの生活は
考えられなくなっている。
次の刺激をくれるなら
恥ずかしいなんて
言ってられない。
『慶子ちゃん、
俺の前でしてくれる?』
真壁にそう言われた慶子は
恥ずかしさで一緒迷ったが
すぐに覚悟を決めて
真壁の前で始めだしたのだ。
『慶子ちゃん、こうすると
もっと良くなるよ』
『こうしてみようか?』
真壁の言うままに
していた慶子は
彼の毒牙にかかって
しまったのである。
それからは家庭教師の
時間の2時間のうち
最初と最後の15分だけ
服を来ていたが
間の90分は
服は着ていなかった。
全て真壁の思い通りだった。
初めて見た時から
オモチャにしてやる。
そこから
全てシナリオを考えて
闇に落としたのである。
慶子が中学を
卒業するまで家庭教師は続き
真壁の個人レッスンは
大人の授業そのものだった。
高校に入っても
美術教師に捕まった彼女は
在学中の3年間
美術準備室で
個人授業を受ける
日々だった。
慶子の人生で
彼女を求めてくる男達は
彼女の性格や本質を
求めてこなかった。
可愛いお人形さん
悪い男に汚されていく度に、
更に清楚を求めていき
清純を身にまとうように
なっていく。
その清純さが悪い男を
引き寄せる事を
彼女自身も分かっていたが
清楚という防具を
彼女は捨てる事が、
もう出来ない。
自分が汚れていく度に
純白な清楚さを
求めていってしまう。
会社に新入社員として
入ってからも
それは同じだった。
同期で研修を受けている
男性社員も
配属されてからの支店の
男性社員も
清楚な慶子に群がっていた。
その男子社員を見るたびに
『ありがとうございます』と
笑顔で受け答えていたが
腹の底では
『ヤル事しか
頭にないクズどもが』と
蔑んでいたのである。
上司、先輩、同期
会社の男全員が
スケベな目で
私を見てきた。
いや、待って
1人だけ来ていない
あの人は確か
ロボって言われた人
立花さん
妻帯者?
妻帯者こそ社内不倫で
あわよくば?と
ギラギラした目で
清楚だと勝手に思い込んで
私を狙ってくる。
私に興味はないの?
やがて間接的に
ロボの情報が入ってくる。
人と関わりを
持ちたがらない。
仕事の書類を
持っていった時に
少しだけ話をしてみると
感情が死んでいる。
世捨て人のようだ。
ロボと呼ばれている、
この人が
普段はどういう
生活をしているの?
好奇心?興味本位?
不思議な生き物の
生態を知りたがる
そんなキッカケ
だったはずだ。
上から目線で
観察してやれ
総務の仕事をしているので
住所や学歴は簡単に
調べられた。
普段の行動は?
朝早く立花の
アパートに行き
出勤前に家に張り込んだ。
毎日、同じ時間に出勤して
会社が終われば
寄り道せずに帰宅。
土曜日、日曜日にも
外出は少なく
コインランドリーと
買い物くらい
つまらない生き物
何が楽しくて生きているの?
観察日記を
終えようとした時に
同じ車両に乗っている
立花が
いつもスマホを
見ている事を
思い出して
何を見ているか?
気になった。
どうせエロサイトだろ?
満員電車の中、
立花に気付かれないように
背後に回り込み画面を覗く。
ゲ-ム?
一心不乱に
スマホを操作をして
ゲ-ムに夢中になっている。
普通に携帯ゲ-ムで
遊ぶ男の人
ロボじゃないんだ?
慶子は観察していた
つもりだったが
いつしか立花に
興味を持ち始めていた。
会社内では棚橋と
談笑しているし
仕事での評判も悪くない。
むしろ誰もしない
オフィスの掃除を
ひっそりとしたり
忙しいと誰も
対応しない来店者の
応対をしたりと
自分からアピールをしないが
会社内の雑用を率先して
やってくれている
良い人じゃないか。
見た目に左右されないし
私の本質を
見てくれるのでは?
本当の私を知っても
逃げないのでは?
大学時代の彼氏に
中学生の頃
家庭教師の先生の
オモチャにされていて
足の指の間を舐めて
奉仕をしていた
過去を話したら
逃げ出してしまった。
立花さんは逃げないよね?
電車の中の立花さんが
最近いつもと違う
画面を見て
ニヤニヤしている。
背後に回り込んで
画面を見てみよう。
誰だ、この女は?
権太坂36?
絵色 女神?
知らない。
私の立花さんを
取るなんて許せない。
駆け出しの
アイドルのくせに生意気だ。
どうしてやる?
そうだ、
家を突き止めて
ネットに公開してやれば
ファンが家に押し掛けて
めちゃくちゃだ。
発信機の付いたぬいぐるみを
女性ファンから貰ったら
喜んで自宅に飾るだろう。
やがて彼女の狙い通り
『女性ファンの方からの
プレゼントは初めてだから
嬉しいです』と言って
絵色女神がマンションに
持ち帰った。
発信機を使って絵色女神の
自宅の場所は分かった。
後はネットの掲示板に
絵色女神の自宅住所です、と
公開すれば準備万端だ。
立花さんを
惑わす奴は悪だ。
立花さんと私の障害は
全て排除する。
棚橋が騒いでる。
『立花が外国人を買って
家に泊めた』
バカな棚橋
立花さんが、そんな事を
する訳ないだろ?
本当じゃないよね?
買うほど女性に
困っているなら
私に言ってくれれば
満たしてあげる。
休みの日に他の子に
会わないよね?
新宿に行って誰と会うの?
え?
佐山サトシ?
友達なの?
秘密にしてあげるから
私のモノになりなさい。
蝶野正子?
1番嫌いな先輩だ。
2人で飲みに行く?
絶対に許さない。
タクシーで2人で
何処に行くの?
立花さんのアパートに着いて
2人で部屋に入った。
エッチな事は
絶対にさせない
部屋のチャイムを鳴らして
邪魔してやる。
もう我慢出来ない。
立花さん、
何でキスを拒むの?
私と立花さんは
同じなんだよ?
他の人には分からない
傷ついたモノ同士
愛しあって
わかり合いましょう?
\
でも、立花さんは
コッチを振り向かない。
そうだ棚橋を使おう。
『本当に何でも、
してくれるの?』
慶子がそう聞くと
『何でもしますから
告訴だけは
許してください』
土下座したままの
棚橋が懇願する。
『なら私の手伝いを
してくれるなら』
『考えてあげても
良いわよ?』
ネチっこい喋り方で
慶子がそう言うと
犯罪者と言うレッテルから
解放されたい棚橋は
『何でも手伝います』と
強く絶叫したのである。
慶子がニヤリと笑ったが
棚橋は見ることが
出来ずにいる。
『簡単な事よ』
『私と立花さんが
付き合う手伝いを
してくれれば良いだけ』
そう言った慶子の言葉を聞いて
棚橋は迷う。
『それくらい出来るでしょ?』
慶子に言われた棚橋は
黙っている。
『立花には彼女が
いますから』
『それは出来ないです』
『他の事なら何でも
手伝います』
棚橋は改めて土下座をして
慶子に頼み込んだ。
『ねぇ、バカなの?』
冷めた声で慶子が聞く。
『私は立花さんを
好きだって飲み屋でも
あなたに話したでしょ?』
『それを知っておきながら
ホテルに連れ込んだの?』
『人間的に許される?』
棚橋を罵倒する言葉が続くが
棚橋は何も言い返せない。
慶子ちゃんの言う通りだ。
弱っている女の子に
つけこんで
ホテルに入った。
人間失格だ。
『立花さんと
棚橋さんで飲みに行く』
『その時、立花さんの飲み物に
クスリを混ぜてちょうだい』
立花を罠にハメる?
クスリを使って
何をしようとしてる?
『立花を裏切ることは
出来ません』
その問答はしばらく続いたが
棚橋が押し切られて
立花を飲みに誘ったのである。
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