第17話裸になる女神様 1

買い物に夢中になり

立花のアパートに着いた頃には

20時を過ぎていた。


炊飯器は今日買ったばかりなので、

いきなり今から

晩御飯作りとはいかず


彼女の手料理は

次回へと持ち越しである。


『今日の晩御飯は

ピザ-ラなんて、

如何でしょうか?』


立花に聞かれた彼女は

『リクエストしても、

良いですか?』と

前のめりに頼んできた。


『好きなピザとかあるの?』

立花に聞かれた彼女は笑顔で


『カレーモントレ-が

食べたいんですけど

ダメですか?』と聞いてくる。


『全然、良いけど好きなの?』と

立花に聞かれて


『小学校の友達の誕生日会で

食べた時に感動したんです』


『それ以降、

食べる機会が無くて』と

目を輝かせて説明をしてきた。


家庭の事情もある事だろうし、

深くを聞くのは止めよう、


立花はすぐにピザを注文した。


『ピザが来るまでは

買って来た物の整理を

してようか?』


立花の提案に彼女は、

すぐに動き出して

食器類の整理を始めたが


知らない男からの

肌露出の視線防止が

必要無くなった彼女は


GUで買ったTシャツを脱いで、

腹筋丸見えTシャツに

ミニスカートで片付けを

開始すると


炊飯器の箱を開けて

確認しようとしている立花に


『お茶碗とか、お皿って

何処に置きましょうか?』と

質問してくる。


食器棚など、この家には無いので、

『キッチンの吊り戸棚か?』

『下の収納に

しまっておこうかな?』と言うと


『わかりました』と

彼女が答えてキッチンの

吊り戸棚を開き始める。


炊飯器の説明書を読み出した

立花の耳に


『う〜ん、届かないな』と言う、

絵色女神の独り言が入った。


小さな女性では難しいかな?


俺が手伝うか?


そう思って何気なく

キッチンに目をやると


イスを踏み台にして、

収納の上部に何かを

入れている彼女の後ろ姿が

見えたが


イスが低いせいもあり、

彼女が背伸びをしているので

ミニスカートの中が

丸見えになって


水色のパンツと

可愛いヒップラインが

見放題となっている。


人間は不思議なモノで、

見てはいけないと

頭では理解しているが


身体は言う事をきかず、

一点を凝視し続けて

しまっていた。


いかん、いかん


我に帰った立花は

違う方を向いて


『大丈夫?』と

何事もなかったように

彼女に聞く。


絵色女神は

丸見えになっている事に

気付かず、

収納する事に集中しており


『ちょっと、こっちに来て貰って

良いですか?』と立花を呼んだ。


俺が行ったら、

お尻が見えちゃうだろ?


『行かないとダメ?』と

炊飯器の取り扱い説明書に

集中している風に、

彼女に言うと


『出来たら、

お願いできますか?』と


やはりキッチンへと立花を

誘導しようとしている。


ここまで頼まれて行かないのは、

かえって変だしイヤな奴になる。


覚悟を決めて

立花がキッチンに行くと、

さっきと変わらず


水色のパンツが

丸見えのままの状態だ。


見えていた事が後でバレて

変な空気になるよりは

教えた方が良いだろう?と考え


『女神ちゃん、

大変な事になっているよ』と


彼女が気付くように

遠回しに立花が言うが


背伸びをしている彼女は

後ろを振り向く余裕がないようで


『何が大変なんですか?』と

パンツが丸見えのまま、

立花に質問をしてくる。


彼女の細い足は白く、

スラっと伸びており、

お尻も大きくなく適度な

スタイルの良さだ。


水色のパンツと共に完全に

目に焼き付いてしまった。


『女神ちゃん、

パンツが見えているよ』


立花が覚悟を決めて発した言葉


『ウソ?』


ビックリして振り返った時に、

彼女がバランスを崩しかけた。


間一髪


立花が走り寄って

落ちそうになった絵色女神を

抱きしめて支えている。


滑り込むような形で助けたので、

崩れた、お姫様抱っこのような

ポ-ズだが


その時、立花の右手は

絵色女神の胸にあった。


『大丈夫だった?』


立花が絵色女神に

身体にケガが無かったか?

確認しているが


突然、立花に

抱きしめられている彼女は

自分に何が起こったか?

理解出来ていない。


1秒ほど固まった後


『大丈夫です』と

ケガが無かった事を報告したが


その時、立花も絵色女神も

オッパイに指が沈み、

しっかりと支えられている

光景を同時に見ていた。


『ごめん』


慌てて彼女の胸から

手を離した立花、

身体ごと動かすと

絵色女神が落ちてしまうので


手の平だけを、

どかした形となったが、

支えられていた彼女は

立花の右手を掴み


『私の胸、触るのイヤですか?』と

聞いてきたのであった。


『え?』


立花は一瞬、

彼女が何を言ったのか?

理解出来ずにいる。


そして至近距離にある

絵色女神の目を見つめて


『今、なんて言ったの?』と

聞き返した。


すると


『私の胸は

触りたくないですか?』と


さっきと違う言葉で立花に

再度、質問をしてくる。


触って良いんですか?


ノドまで出かかった

言葉を飲み込み


彼女の身体を自分から下ろして

『急に、そんな事言って』

『ビックリするじゃないか』と

笑いながら、

何事も無かったように

しようとしたが


彼女は


『私って魅力が無いんですね』と

身体のチカラが

全て無くなったように、

その場に座りこんでしまった。


『違う、違う』


脱力した彼女を見て立花が

慌てて弁解をするが、

彼女は立花の方を見ようとしない。


女として失格の烙印を押された、


さっきまでの幸せだった笑顔が

ウソのように、

悲しそうな彼女の表情を見た

立花は


『すいません、

胸を触らせて下さい』と

絵色女神にお願いしている。


『本当ですか?』


途端に、

彼女の表情が生き返った。


キッチン前の廊下に2人共、

正座をして

向かい合っている状態は、

剣道の試合前のようだ。


『すいません、失格します』


そう言って右手を伸ばして、

彼女の左胸を優しく

下から支えるように触る。


現役アイドルが家庭訪問して

自分の胸を触らせている姿は

異常な光景だ。


触られている感触が

伝わってきた彼女は

顔を真っ赤にして

両目を閉じて我慢を

しているような

表情になっている。


その顔に気付いた立花が


『イヤだった?止めようか?』


そう言って手を離そうとすると、

彼女はその手を掴んで、

自分の左胸に引き寄せて


『ちゃんと触って下さい』と

潤んだ瞳で立花の目を

見つめて懇願してくる。


事情が分からなくて

躊躇しながら

言われるまま触ってていた

立花だったが、


再度の美少女の

オッパイタッチの要求に

自分自身のストッパーが

外れてしまい


下から支えていた

手のひらにチカラをいれて、

絵色女神の胸に指を沈ませていく。


そして、ゆっくりと指を動かして

手のひら全体で感触を

確認するように揉みしだき始める。


え?


こんなに揉んでくるの?


優しいタッチだった行為が

本格的なマッサージに変わって

1番ビックリしていたのは

絵色女神本人だった。


あの絵色女神の

オッパイを揉んでいる。


その現実が目の前で起きており、

柔らかい感触が指から伝わり

脳みそを刺激して電気が

流れた感覚になっていた。


久しぶりの

女性の胸タッチだった立花は

完全にスイッチが入ってしまい


空いている右胸にも

手を伸ばして、

手のひらを広げて

右胸全体を包んだ後


指に優しくチカラを入れて

揉みしだき

始めてしまったのである。


両方?


同時に触るの?


左右バラバラに指が動き、

やがて円を描くように

ぐるぐる揉みしだいていく。


ちょっと待って、これヤバい


自分から頼んでいた

絵色女神だったが、

初めて胸を揉まれて

発生した感覚に


心臓の鼓動が

ドキドキと早くなり、

どうして良いのか

分からなくなっている。


医者の触診のように

5秒ほどで終わると

思っていた彼女は


大人の男性の触り方を

初めて経験をして、

耐えられずに

身をよじるようにし始めた。


『ピンポ-ン』


呼び鈴を鳴らす音を聞いて、

ビックリした2人は

我に帰って身体を離す。


『ピンポ-ン』


『ピザ-ラです、

お届けに上がりました』



『ピザ屋さんです』

絵色女神が立花に報告するが、

横にいるので

立花にも当然聞こえていた。


『ピザ屋さんだね』

そう言って慌てて

立ち上がった立花は、

何故か前屈みの姿勢のまま

サイフを取りに行き


玄関のドアを開けて

ピザを受け取っている。


ピザ屋さんが来なかったら、

どうなっていたんだろう?


心臓がドキドキしている彼女は、

立花とピザ屋のやり取りを

見ているが


放心状態で動けず

頭は全然回っていない、

ふわふわした状態のままだ。


どうしよう、

ピザ屋さんが居なくなったら

2人きり


何を話せば良いのだろう?


回らない頭で、

その事を考えていたが


そう考えていたのは

立花も一緒だった。


金を受け取ったピザ屋は、

とっと帰り、

ピザの箱を持った立花は


前屈みの体勢のまま、

足早に彼女の前を通り抜けて

テ-ブルにピザを置いて座る。


キッチン前の彼女も

崩れた正座状態から

立ち上がって、

テ-ブルの前に遅れて座った。


お互いに顔を上げず

下を向いたままの状態だが、

箱の隙間から

カレーモントレ-の匂いは

漏れている。


1分間ほど

無言の状態が続いた後


『ちゃんと触るって、

あんな感じで良かったのかな?』と


立花が沈黙を破って

彼女に話しかけると


『はい、そうだと思います』と

彼女があやふやな答え方をした。


他人ごとのような

彼女の答えに、

立花が不思議そうな表情をする。


その後、

またお互いに無言な時間が続く。


『女神ちゃん、質問して良い?』


沈黙に耐えられなくなった

立花が彼女に聞くと


『はい、なんでしょうか?』と

返して来たので


ずーっと引っかかっていた事を

聞き始めた。


『何で俺に胸を

触らせたがっていたの?』と

彼女の謎の要求に質問をする。


やっぱり聞いてきたか、

そんな気持ちになった彼女が

ポツリポツリと喋り始める。


ネットで読んだ記事では、

家出した女の子が独身男の

アパートに泊まって

襲われた話が多かった。


自分は2度も立花の家に

泊まったが、

襲われる事もなく

優しく対応されている。


アタシは大事にされている、と

喜んでいたがメンバーで

同期の子に相談したら


立花さんがLGBTの人で

異性の人に興味がない可能性も

あるんじゃないか?って

言われて


悩んでいた時に、

大人の男性は年下の女の子を

子供扱いしている時には、

手を出さないと言う事も知った。


『立花さんは私を女として

見てないのかな?って

心配になって』


『あんな変な、

お願いをしちゃいました』と


心の中にあるモヤモヤした感情を

吐露したのであった。


『俺も、ちゃんと理由を

聞けば良かったね』


彼女の説明を聞いた立花が

喋り始めた。


『でもやっぱり俺は、

女神ちゃんの胸を

触るべきじゃなかったんだ』


『女神ちゃんがアパートに

初めて来るって、なった時から

女神ちゃんには

手を出さないって、

俺は決めていた』


話しながら絵色女神を見ると、

悲しそうな顔になっている。


『理由としては

アイドルに手を出したら

ファンの人に

死刑にされちゃうからさ?』と

言ってみたが、

彼女は無表情のままだ。


『もう一つは女神ちゃんが

未成年だから』


そう言うと彼女は、

やっぱりと言いたげな表情で

立花を見たので


『違うよ、

子供扱いしてじゃなく』


『大人の女性だからこそだよ』と

説明すると


『大人の女性なら

良いじゃないですか』と

彼女が立花に異議ありと

迫ってくる。


『女神ちゃんは未成年でしょ?』


『日本の法律では未成年と

エッチしちゃダメなんだよ』と

立花が諭すように彼女に語る。


『俺は女神ちゃんが

近くにいても我慢が

出来ると思っていた』


『でも結局はネット記事の

男達と同じだった』


立花がそう言うと


『立花さんは違います』


『今だって最後まで

しなかったじゃないですか』と

彼女が言った時に


『ピザ屋が来たから』

そうポツリと言った。


それを聞いて彼女もハッとした。


ピザ屋が来ていなかったら、

どうなっていたんだろう?


『友達の予想はハズレだったね』

『ピザ屋が来ていなかったら、

俺は自分を抑えられていたか?

自信がないよ』


そう説明された彼女は

何も言葉が出なかった。


露出度の高い服を着て

立花を挑発するように


我慢をしていた立花を

誘ったのは自分だ。


その罪悪感を感じている。


それと同時に恐ろしい未来を

予想してしまった。


『女神ちゃんが

俺の家に泊まっている事が

バレたら』


『たとえエッチをしていなくても、

みんな信じないでしょう?』


『やっとアイドルして

スタートした女神ちゃんの

将来が終わると思うんだ』


絵色女神には分かった。


立花が、この先に

聞きたくない事を

言おうとしている事を




『今日で会うのは最後にしよう』


絵色女神の最悪の予想は

当たってしまったのであった。

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