第91話 主人公④ (リリス視点)
前話、何視点かを入れるを忘れてしまいました。
すいません。
―――
「あれって・・・」
[おい、魔物に集中しろ!]
精霊の入った檻に目を奪われていたが、ゴーレムがこちらへと向かってくる。
ゴーレムのレベルは確か上上級。
私がこれまで倒してきたことのある敵の最高は上級だった。
[左に避けろ]
クロの指示に従い左へと走る。
kspc18wcw
そうゴーレムが唱え、巨大な岩が飛んでくる。
kspc18wcw
私が避けるたびに魔法は飛んできて、懐に入れない。
「どう戦えばいいかな?」
左右へ走りながら、機会を探る。
[ゴーレムか。確か水魔法が苦手だよな]
「うん、私の剣は流石に通じないかな」
[あの体を柔らかくすれば・・・]
そう話しながらもゴーレムの攻撃を避ける。
「一回普通の攻撃、試してもいいかな?」
[やってみたら?]
そうクロに言われて、私はゴーレムへと向かっていく。
ギガァァ!!
ゴーレムが私に向かって大きな手を打ちつけようとする。
私はその攻撃に合わせてストップをする。
【ストップ】
体に似合わぬ素早い動きが一瞬で止まる。
[腕から上がれるな]
私は手から腕へと渡り、頭へと行く。
[そろそろ解けるぞ]
その忠告とともに、全ての感覚が戻った。
ゴーレムは勢いそのまま手を振り下ろしたがすでに私はそこにはいない。
逆に私を見失ったゴーレムの頭めがけて剣を振り下ろす。
【グラビティー】
最大の重さを剣に付加する。
キーーーン!!!
剣の弾ける高い音が辺りに響く。
「無理だね」
[ああ、水魔法があれば行けるかもな]
私は攻撃が通じないと判断し、ゴーレムからすぐに離れる。
ギルァァァ!!!!
ゴーレムは攻撃に怒り狂い、咆哮する。
「どうしよう・・・」
[妾(わらわ)を助けて!!!]
またあの声。
[もしかして囚われている精霊?]
[ああ、そうだ]
[どうして囚われているの?]
[そんなことはいい!それよりそこの石野郎を倒したいんだろう!貴様は精霊術師なら妾と契約してくれ]
[リリス、前も見ておけ]
クロの言葉、謎の精霊、ゴーレム、三人を同時に相手にしなければいけない。
私はゴーレムの魔法を避け、謎の精霊に尋ねる。
[貴方は誰なの!?]
[妾は水の精霊王、ニンフィーンよ。妾を使えば倒せるはず]
精霊王!!!
「クロ、どうすればいい?」
[君が決めろ。主になるは僕ではない]
「・・・じゃあ」
私は今まで動いていた場所から更に一歩後ろに下がる。
つられてゴーレムも前に一歩出る。
そこで一気に加速する。
自分の重力を無くし、更に時も止め、全速力でゴーレムの横をすり抜ける。
時が戻ったときには私はゴーレムの背後にいて、檻までもう少しというところ。
ゴーレムはそれに気づいて振り返ろうとする。
だが、後一歩足らなかった。
私は檻を掴んで剣で斜めに、精霊に傷のつかないように一気に斬る。
[おお、助かったぞ!久しぶりに外へと出れる。この忌々しい檻とおさらばだ]
「ねえ、それより」
[ああ、分かっているぞ]
[我は契約を望む]
[同意する]
その瞬間、体に漲る力と沸き立つ力に襲われる。
[さて、パパっとやっつけるか。手を前にかざせ]
「こう?」
私はこちらへと向かってくるゴーレムに手を出す。
【ウォーバー】
体の
[行けぇぇ!!!数百年の恨みよ!!!]
ニンフィーン、いやフィーンが叫ぶ。
ゴーレムは避けようとするも、時すでに遅し。
直撃を喰らい、一瞬でただの土塊と化した。
[ふぅ〜〜積年の恨みを晴らせた!]
[おい新入り、リリスの体が持たないぞ]
[はぁ、持たないって―]
あれ、意識が、声が遠のいて・・・・
私はそこで意識を失った。目を覚ましたときにはBグループのメンバーに囲まれている状況だった。
どうやら皆んなが戦っていた場所から数百メートル後方で私は見つかったらしい。
アレックスくんにめちゃくちゃ心配された。
どこに行ったのかと聞かれ、ゴブリンがまだいたから追っていた、などとバレそうな嘘を咄嗟についた。
しばらく質問を受けたが、私に何事かがあって話したくないと察してくれたのか、それ以上の追求は無かった。
先生にも色々と聞かれたが、隠しダンジョンの事は言ってはいけない気がして適当にはぐらかした。
―――
ニンフィーンについてはまた後日。
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